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Sohatsu Eyes

ボランティアマッチ

2005年02月08日 嵯峨 生馬



企業で社会貢献活動に携わっている人なら、「マッチングギフト」という言葉を聞いたことがあると思います。マッチングギフトは、従業員が寄付したのと同額を企業も寄付する仕組みです。
今日ご紹介したいのは、これと似た仕組みで「ボランティアマッチ」というものです。これは、従業員がNPOなどでボランティアした時間に対応して、企業がNPOに寄付する仕組みです。

人まで出して、さらにカネまで出すなんてトンデモナイ!と思う人もいるかもしれません。日本ではまだ馴染みがありませんが、例えば米国のシスコシステムズでは1時間のボランティアに対して17ドルというレートを設定しています。
ボランティアマッチの利点について、ここでは2点だけ挙げます。
ひとつは、社会貢献の場面でも企業の個性を活かせること。ボランティアマッチは、従業員が実際に活躍し、顔の見える関係を築いたNPOに対して寄付する仕組みです。企業にとって、寄付を「いくら出すか」も大事ですが「なぜ出すか」はさらに重要です。この仕組みは、企業による寄付に明快なストーリーを提供するものです。
ふたつめに、従業員のボランティアを促進し、顕在化させる効果も期待できます。おそらく、御社の中には、会社に特に報告せず個人的にボランティアをしている人もいらっしゃるでしょう。そうした従業員の活動は、企業の社会的責任を説明する上で有効な資産です。ボランティアマッチの導入により、従業員は進んでボランティア時間を申告するようになると考えられます。上記シスコシステムズの社会貢献担当者の言葉ですが、「どの国のどの事業所で何人が何時間ボランティアをしています、と言えることが、投資家によい印象を与えます」という明確な答えが返ってきたのを覚えています。
ボランティアマッチの考え方は、一歩進んだ社会貢献の姿を考える企業にとって、貴重なヒントを与えてくれそうです。

※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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