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Sohatsu Eyes

急伸する病院ビジネス

2005年03月08日 工藤 真紀



病院分野のビジネスが拡大している。国の医療費抑制政策や財政悪化等に伴う収入の減少、高度医療や機能向上に伴う投資額の増加、電子カルテシステムやICタグのような高度技術の伸展、病院ランキング等の病院評価の流行など、病院を取り巻く環境の変化が激しい。日本の医療サービスは、量としては供給過剰と言われており、これらの環境変化を背景として経営難に直面している病院が少なくない。この逆境を乗り越えるために、病院が新しいサービスを求めているのだ。

求められるサービスは大きくは二つある。効率化を進めるサービスと、患者に選ばれる病院にするため差別化を進めるサービスである。前者のソリューションの一つとして、公立病院にPFIの導入が進んでいる。この3月に、日本初のPFI病院である高知医療センターが開院した。効果を評価するにはまだ時間が必要だが、巨大な病院事業費を圧縮する手段として公共病院の注目度は高く、今後導入が拡大することが予測される。一病院で数百億円という規模が珍しくなく、ビジネスとしても相当な規模である。
後者のソリューションとしては、IT技術を導入することで、患者サービスを向上させるサービスが拡大している。電子カルテを導入することにより待ち時間を減らしたり、カルテ情報を患者に開示したり、バーコードやICタグにて院内物流の安全性を高めたり、というように、患者に選択される病院とするためにサービスの質を上げる動きが少なくない。病院のIT環境は一般企業よりも遅れている傾向にあり、今後の急速な伸びが期待できる。
日本の医療費は約30兆円。医療そのものは非営利であることが法で定められているものの、周辺部分には民間企業のサービスが求められる部分が少なくない。日本の病院サービスが患者にとってより良いものにするためにも、病院分野で様々なサービスが花開くことを期待する。

※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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