Sohatsu Eyes
対立も創発のきっかけ
2005年04月12日 石田直美
業務を進めていく中で、メンバー間で意見が対立することがあります。また、当社とお客さまの見方が異なることも生じます。創発戦略センターは、新しい事業のインキュベーションを主眼に活動をしていますが、プロジェクトがある程度進んだ段階で基本的な事業コンセプトに関するずれが生じるようなことも少なくありません。
このようなときにどうするかといえば、徹底的な議論です。しかし、ただお互いに言いたいことを主張しているだけでは前向きな議論になりません。
お互いの主張の同一点と相違点を整理し、相違点の背景にある考え方、認識の違いを深堀りし、その差異を埋める新しい方向性を生み出していくというプロセスが必要となります。
概して日本人は、和を重んじ、対立を避ける傾向があります。このため、意見の対立が表面化しないような行動を無意識にとってしまうことがあります。しかし、上記のような議論をすることで、より理解が深まるのはもちろんのこと、新たなアイディアが発見されたり、逆に盲点が見つかるなどの効用も期待できます。
「創発」という言葉には、多くの人間が刺激しあってこれまでにない価値を生み出していくという動的関係が込められています。この「創発」の中には、楽しい盛り上がりもあれば、お互いが異なる意見を有して議論を戦わせる局面もあります。後者の場合であっても、建設的な議論ができることは、創発の大事な要素です。
意見の対立は決して悪いことではありません。むしろ、このようなときこそ、創発が生まれる大きなチャンスなのです。
※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。