Sohatsu Eyes
マイクログリッドの意義
2005年05月24日 荒生元

ところで、発展途上国の離島や遠隔地などのような無電化地域ならまだしも、発電所も送配電線も十分に整備された日本で、今更マイクログリッドが必要なのか、という疑問をお持ちになる方も多いと思います。そこで、マイクログリッドの意義について考えてみたいと思います。
これまで整備されてきた大規模集中型の発電所は、大量の電気を安定的に供給するためには効率的な方法でした。しかし、CO2の排出削減が喫緊の課題になっている現在では、発電にともなう排熱を有効利用するコージェネや、CO2を排出しないバイオマス発電、太陽光発電などの分散型電源の普及が求められています。人里離れた大規模発電所では、排熱の供給先はありませんし、エネルギー密度の低いバイオマスを一ヶ所に集約して利用することも輸送効率を考えると現実的ではありません。その意味で、需要家や燃料となるバイオマスなどが賦存する場所に設置できる分散型電源が必要とされているのです。
しかし、いずれの分散型電源も、単体で利用する場合には、商用系統に与える悪影響や、需要と供給のズレなど様々な問題があります。そこで、分散型電源をネットワークして、ITによって制御を行うマイクログリッドが意味を持つのです。
メールマガジンでも何度がご紹介させて頂きいておりますDESSコンソーシアムでは、マイクログリッドの採算性を向上させるために、住宅、工場、病院などより小さい範囲に供給対象を絞り、更に対象ごとにシステムを汎用化することでコストダウンを図る取り組みを行っております。今後の活動にご期待下さい。
※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。