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Sohatsu Eyes

地域の知的財産戦略

2005年09月21日 金子 直哉



都道府県レベルで「地域の知的財産戦略」を策定する動きが拡大しています。
今年の3月時点で既に、北海道、秋田、福島、茨城、埼玉、東京、福井、愛知、大阪、島根、福岡、佐賀、長崎の13都道府県が独自の知的財産戦略を策定しています。また、栃木、群馬、千葉、新潟、長野、宮崎の6県が策定に取り組んでおり、加えて、山形、神奈川、石川、三重、滋賀、鳥取、高知、大分の8県が検討中または今後の検討を予定しています。これらを合計すると、「知財戦略を策定済み、策定中、または策定予定」の地域は27都道府県となり、全体の57%に達することになります(2005年3月の工業所有権情報・研修館の報告に基づく)。

こうした取り組みは、国の知的財産戦略本部が「地方公共団体における知財戦略の策定を奨励している」ことを一つの背景としていますが、「知的財産を核に“独自の強み”を生かした新たな産業を興したい」という地域自身のニーズに拠るところが大きいように思われます。知的財産が競争力の源泉となる時代が始まり、競争のルールが「どこでも作れるものを、早く、安く作る競争」から「他では作れないものを、いち早く生み出す競争」へとシフトしたからです。

しかしながら、こうして知財活用の取り組みが拡大傾向を見せる一方で、実際に地域の現場に入ると、活用した成果がなかなか地域振興に結びつかない現実も見て取れます。特許やノウハウなどを新製品や事業に結びつけるプロセスには常にリスクを伴うことが大きな原因であり、知財活用に取り組み地域では「早く成果を出したい」「目に見える成果を出したい」という地域振興の顕著な効果を求める声が同時に高まっています。 どうすれば現状を打開できるのか。

ポイントは、「特許やノウハウなどの“技術資源”」から「名産品や観光地などの“地域ブランド”」へと視野を広げることにあります。「地元でしか取れない農林水産物を使った健康食品を開発する」「観光名勝をデジタルコンテンツに仕立てて全国に発信する」など、「“地域ブランド”と“技術資源”を融合した新たな知財戦略」の展開が、これからの地域振興の鍵を握っています。

※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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