Sohatsu Eyes
次世代育成支援対策推進法
2006年04月17日 森田 美智子
「ファミリー・フレンドリー」企業とは、厚生労働省の定義によれば、「仕事と育児・介護とが両立できるような様々な制度を持ち、多様でかつ柔軟な働き方を労働者が選択できるような取組を行う企業」のことです。
急速に進展する少子化への危機感が高まってきていることから、ここ数年は「仕事と育児の両立」により焦点が当てられてきています。2003年7月に成立、公布された「次世代育成支援対策推進法」は、次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、育成される環境の整備を行う「次世代育成支援対策」を進めるため、国や地方公共団体による取組だけでなく、301人以上の労働者を雇用する事業主は、2004年度末までに「一般事業主行動計画」(以下「行動計画」と言います)を策定し、2005年4月1日以降、速やかに届け出なければならず、雇用する労働者が300人以下の事業主には、同様の努力義務があります。
厚生労働省及び(財)21世紀職業財団は、仕事と家庭の両立支援に取り組もうとする企業を支援する取組の一つとして、両立支援対策を積極的に進めている企業の取組や次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画等を掲載したサイトを平成18年4月1日に開設しました。それが、『両立支援のひろば(http://www.ryouritsushien.jp/)』です。2006年4月13日現在では、183社の事例が登録されています。
このサイトでは、企業がどのような行動計画を策定したか、実際の取組みはどのようなものかなどについて、「我が社の両立自慢」として自ら取組が進んでいることをアピールできるようになっています。
具体的な取組としては、「法令で定められた以上の育児・介護休職取得可能」「短時間勤務などの、より柔軟な労働形態」等といったものが挙げられています。
しかし、制度が整っているというだけでは実効性はありません。まずは、従業員全体へ取組を周知徹底することが大切です。制度があっても、利用者が知らなければその制度は制定されていないのと同じです。次に、企業を構成する従業員全体が、「ファミリー・フレンドリー」でなければいけません。少なくとも、制度を利用しようとする従業員を受入れていく雰囲気がなければ、制度の利用は進まないでしょう。
そういった意味でも、各社の行動計画や取組が公表されたことは喜ぶべきでしょう。真に「ファミリー・フレンドリー」な企業が増えるよう、私たち国民一人一人が取組を見守っていくことも大切なことではないでしょうか。
※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。