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コラム「研究員のココロ」

「次世代」が街にやって来る!
~大阪における次世代産業創造~

2005年08月22日 宮林幸洋


 最近何かにつけ「次世代」という言葉を目に耳にします。
 「次世代」というものは何もしなくてもやって来るようなものですが、与えられるのではなく、もし自分たちの力で創り出せたらおもしろいと思いませんか?何が起きつつあるのか耳目を凝らして“流れについていく”のも重要なことですが、流れの先頭のほうに立ってみるのもビジネスにおいては狙ってみたいことです。もちろん、そんな簡単なことではありませんが、とはいえ、流れについていこうにも難しくなってきている昨今、「イノベーションの動向は?」「マーケットのニーズは?」・・・どうせついていくなら前のほうで乗りたいですし、苦労は絶えません。


1.次世代ロボットテクノロジー

 今、停滞久しい大阪で「次世代」を創り出していこうという動きが起こっています。テーマは「次世代ロボットテクノロジー(次世代RT)」です。
 ロボットと言ってもおなじみの鉄腕アトムやガンダムはさすがに無理ですが、50年後には『サッカーで世界一のチーム(国なのかクラブなのか知りませんが)に勝つ』ことを技術水準の目標としているようです。それだけの技術水準に達すれば、家の中や街の中でごく自然にロボットが歩き回って、私たちの生活を支えてくれていることでしょう。

 ただ、ロボットは様々な要素技術(人工知能、アクチュエーター、センシング、ユビキタスネットワーク等)の集大成として造られるものであるため、一人や一社の研究開発努力ですべてを行うことは困難です。いつモノになるかも分からない研究開発に対して巨額の費用を投じ続けることも現実的ではありませんから、それぞれの分野の研究開発がその時々の成果をビジネス化させなければ継続していくことができません。

 そのことは次世代RTによるビジネス創造の可能性も示しています。いわゆる“ロボット”のカタチをしていなくとも、例えば「人の状態を判別するセンシング技術」と「行動を学習したり予測したりする人工知能」の組み合わせで『知能化された空間』が形成されるとするなら、これだけでもビジネス化の大きな可能性が出てくるのです。


2.次世代RTによるビジネス創出の難しさ

 問題は、そのような技術の組み合わせからビジネス化のために「どんなサービスを提供するか」ということになります。『知能化空間』の例で言うと“警備サービス”などが思いつきますが、他にもいろいろな可能性はあると思います。あんなこともできるこんなこともできる・・・のはよいのですが、ビジネスとして成り立つにはニーズに適合していなければなりません。技術シーズとユーザーニーズのマッチングの難しさはRTに限ったことではありませんが、特に比較的新しい技術に基づく“次世代”のサービスであるためニーズは潜在的となり、なおさら難しいかもしれません。
 さらに、技術の組み合わせのためには世の中に散らばって存在している要素技術同士のコーディネートも必要となり、一社で開発する場合に比べて労力は多くなってしまいます。


3.大阪は「次世代」創出の拠点となるか?

 そんな困難さを伴う取組みになりますが、シーズやニーズのマッチングやコーディネートの場を設置し協働していくことで課題を乗り越えて、数多くの新しいビジネス形成を促進しようというのが大阪での動きです。
 チャレンジングなテーマですが、今後の可能性や範囲の広がりも感じさせる「次世代RTによる産業創造」は、何より私たち日本人が大好きな「ロボット」を題材にして夢を与えるものでもあります。期待を寄せて動向に注目しつつ、参画を続けていきたいと考えています。大阪生まれの大阪育ちである私自身も「次世代が街にやって来る!」と楽しみにしています。
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