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Business & Economic Review 2009年7月号

【特集 世界経済危機と新たな金融システムの構築に向けて】
危機後の金融システムについて

2009年06月25日 プリンストン大学 経済学部教授 ヒュンソン・シン


目次

はじめに
  1. クレジット・クランチ


  2. 市場型の金融仲介業


  3. 証券化の役割


  4. 金融規制


要約

現在の金融危機は、金融機関の役割変化や、資産の証券化および銀行と資本市場の発展との統合を背景にして成長してきた「影の銀行」システムの重要性の高まりを浮き彫りにしている。この傾向は米国で最も顕著に現れたが、世界の金融システム全体にも深い影響を及ぼした。市場型金融システムにおいては、銀行と資本市場の発展は不可分の関係にあり、資金調達状況は、市場型金融仲介業のレバレッジの変動と密接につながっている。市場型金融仲介業のバランスシートの伸びは、信用の利用可能性という意味での流動性状況について知る目安になる一方、バランスシートの収縮は、金融危機の始まりに先行して現れる傾向がある。証券化は、損失をうまく吸収できる層へクレジット・リスクを分散させる方法として意図されたものであったが、実際には、証券化は、銀行やその他の金融仲介業者がお互いの証券を買うことでレバレッジを高めることを許し、金融システム全体の脆弱性を強める結果となった。金融危機後の新しい金融システムでは、金融規制が一段と厳しくなり、また、金融の安定性を弱める過度のレバレッジや償還期日のミスマッチを予防することの重要性に対する認識が生じているため、証券化の役割は抑制される公算が大きい。金融システムはそれ自体が目的なのではなく、実体経済に奉仕するためにあるということを認識してはじめて、制度的な変化や金融政策の実施がはじまることになるだろう。
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