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Business & Economic Review 2008年09月号日本総合研究所 シンポジウム

【新しい国のかたち-連邦型地域主権国家の創造】
連邦型でよみがえる地域活力

2008年08月25日 藤井英彦


要約

  1. わが国経済は厳しい状況に直面。資源価格高騰など外部要因が作用した側面は否定できないものの、供給制約の深刻化が主因。その主な問題を三つ指摘すれば次の通り。

    a.経済リソースの海外流出。とりわけヒトとカネの流出問題がポイント。
    b.戦後わが国の経済発展を支えてきた成長モデルの危機。地方圏から都市圏へ人が流れ、都市圏が経済成長を牽引してきたが、今後、都市圏でも生産年齢人口が減少。
    c.所得格差の深刻化。階層が固定化し、人材をベースに成長してきたわが国の成長基盤が喪失される懸念。

  2. 多くの先進各国は、わが国同様、グローバル化の進行に直面しながら、着実に成長。近年の推移を整理すれば、次の通り。

    a.主要国よりも中小国の活力が旺盛。購買力平価ベースの一人当たりGDPと総人口との関係をみると、人口が少ない国ほど一人当たりGDPが大きい傾向が鮮明に。主因は国境制約の後退。経済要素が国境を越えて流動化。しかし、日本では低調。
    b.一極集中からの転換。東京圏では戦後一貫して人口シェアが増加。それに対して、各国では逆に中心都市圏の人口シェアが減少へ。地方圏が各国経済成長の原動力に。
    c.少子化問題の深刻化回避。中期的な成長力を支える視点から少子化問題をみると、出生率の低下傾向に歯止めがかからないわが国に対して、各国は出生率上昇に成功。

  3. 各国成長戦略のポイントを整理すれば次の3点。

    a.労働市場改革。かつて雇用政策は弱者救済策の色彩が濃厚。しかし近年、就労支援を中心とする積極的雇用政策が強力に展開。新たな職業能力の付与と、より高付加価値分野への労働力移動を通じた成長力強化が眼目。
    b.地域に即した産業政策。地域独自の強みを引き出す差別化戦略。
    c.さらなる行財政改革。近年、ITを活用した電子政府を活用した行財政改革を断行する動きが本格化。とりわけ、イギリスが先行。

  4. 中小国が力強い成長を遂げるなか、従来の主要各国では中央集権スタイルを見直し、地方の独自性が発揮される体制、すなわち連邦型国家への転換が強力かつ持続的に推進。とりわけ単一国である英仏で顕著。わが国でも、深刻な閉塞状況の打破に向け、連邦型道州制への移行は焦眉の急。なお、憲法改正が必要との指摘が一部にあるものの、英仏では憲法改正なく断行。

  5. わが国が連邦型道州制を導入するに当たって、とりわけ、留意すべきポイントは、a.スピード、
    b.規模拡大路線からの決別、c.差別化戦略、の3点。
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