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Business & Economic Review 2008年02月号

【SPECIAL REPORT】
サブプライム問題後の格付機関の在り方

2008年01月25日 日本大学経済学部教授 黒沢義孝


要約

債券などの信用リスク情報を投資家に伝達する「格付け」は、20世紀初頭にアメリカで自然発生的に始まったが、1960年代後半から銀行監督当局や保険協会などが公的に使い始め、70年代にはSECによる認定格付機関制度(NRSRO)の発足によって「格付け」の公的色彩が強まった。また、21世紀初頭に発生したエンロン、ワールドコム事件は格付け制度の見直しを必要とし、サーベンス・オクスリー法に基づく審議の結果「2006年格付機関改革法」が制定されて格付機関の登録制度などが法律で定められ、先進国の銀行業務を協議するバーゼル委員会も2007年から「格付け」を共通ルールとして使用することになり、国内はもとより「格付け」が世界標準として使用される公共財(金融インフラ)となった。このように「格付け」の公共性が高まる一方、格付機関は純粋な民間株式会社であり、発信される格付け情報は公共財ではなく私的財として市場の規律に依拠している。これまで、格付け情報が不適切であった事件として、ニューヨーク市債のデフォルト( 7 5 年)、WPPSS事件(83年)、アジア通貨危機におけるソブリン格付けの失敗(97年)、エンロン事件(2001年)など格付機関が矢面に立たされたことは何度かあったが、今回のサブプライムローン問題は、アメリカの住宅債務者のリスクが証券化を通じて世界に散布されたなかで起きた問題であること、および「格付けの公共性」が強く問われている点でこれまでの問題と異なる。これを契機に、格付機関の役割、証券化と格付け手法、正しい格付け情報とは何か、今後の格付機関の在り方等についてあらためて検討した。
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