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Business & Economic Review 2005年07月号

【POLICY VIEW】
新しいアプローチによる地域再生の取り組み-地域再生法について

2005年06月25日 内閣官房 地域再生推進室 企画官 大前孝太郎


要約

現在、わが国経済全体としては、景気回復局面にあるとされているが、各地域経済に目を向けると、生産面や雇用面において地域間のばらつきが大きくなっており、これをいかに克服していくか、が重要な政策課題となっている。「地域再生」もその一つの対応策として、経済財政諮問会議における議論をきっかけに始まった取り組みである。こうした政策課題に対し、従来は、公共事業の積極的な活用(量的下支え)などがその政策手段として採られてきたが、国・地方ともに財政状況が悪化するなか、「財政の大盤振る舞い」的手法はもはや限界にきている。また、地域間の格差は、産業構造等、地域固有の構造要因に基づくところが大きく、全国一律的な政策手段を講じても、長期的には地域間格差の解消にあまり効果がない可能性がある。

こうしたことを背景に、地域再生では、新たな方法論による地域政策の取り組みにチャレンジしている。その特徴は、a.地域がそれぞれの考える地域政策を実現するのに効果的と思われる既存の制度・施策の見直しを要望、b.これを踏まえて国は既存の制度・施策を見直し、メニュー化、c.地域は計画(各地域の政策)を自ら策定し、国の認定を受けて、必要なメニューを選択・活用する、といったことである。ここでは国の「お仕着せ型」政策を否定する一方で、地方間の「知恵と工夫の競争」を促進しようという狙いがある。こうしたアプローチはすでに多くの成果をあげている特区制度と共通の考え方にたつ。ただし、特区の場合には規制の見直しし要望を扱っていくものであるのに対し、地域再生では補助金制度等、主として財政に関連する制度の見直しや権限移譲に関する要望を扱っていくこととしている。いずれにしても、特区と地域再生は、地域が自らの政策を実現するための手段を提供するものであり、いわば車の両輪として、効果的に活用されることを期待するものである。
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