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Business & Economic Review 2006年02月号

【REPORT】
最近の日韓経済関係と今後の強化に向けて

2006年01月25日 向山英彦


要約

  1. 東アジアの経済統合を目指すうえで、日本と韓国との経済関係の強化は不可欠である。しかし両国 の政府間関係は最近ぎくしゃくとしている。本稿では日本と韓国との経済関係の現状を踏まえ、今後の在り方を検討する。

  2. 1990年代以降の日本と韓国との貿易関係をみると、韓国では日本への輸入依存度が依然として高い のに対して、輸出依存度が大幅に低下している。日本では対韓輸出依存度が高くなった一方、輸入依存度はほとんど変化していない。

  3. 両国間の貿易関係を特徴付けるものとして、韓国側の慢性的な貿易赤字がある。しかも2001年以降、 対日貿易赤字の増加ペースが強まっている。この要因としては、a.生産財の日本への依存、b.「輸出先多角化品目制度」の撤廃、c.韓国の対日輸出の伸び悩み、の3点が指摘できる

  4. 金額的に日韓貿易は伸び悩んでいるが、機械産業において日韓での分業が拡大している。事務用機 械では、韓国の輸出が輸入を上回っており、通信・音響機器では輸出入がほぼ均衡している。特殊産業用機械と金属加工機械では、かつては韓国側のほぼ輸入特化となっていたが、近年では韓国の輸出 も徐々に増加している。

  5. 投資面をみると、日本の対韓国投資は2004年に過去最高の22億4,900万ドルとなった。通貨危機後に 規制緩和が進んだ金融・保険、商業などへの進出が増加した。製造業分野では、化学、電気機械、輸送機械などが多い。

  6. 韓国の対日投資はこの数年比較的低水準で推移していたが、2004年度は247億円となり、前年度の38 億円から急増した。日本への投資の大半がサービス産業であり、製造業では機械産業に集中しているのが特徴的である。近年では、現代自動車が進出したほか、IT分野での進出が活発化している。

  7. 日本と韓国は2005年内の締結を目指して、2003年12月から経済連携協定の政府間交渉を進めてきた が、水産物の自由化をめぐる対立に、政府間関係の悪化が重なり、2004年11月以降、交渉は中断している。

  8. 98年、当時の金大中大統領と小渕恵三首相との間で、両国間の友好協力関係をより高い次元に発展 させ、「21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップを穀zする」との共通の決意が宣言された。日本政府と韓国政府には大局的な視点に立って、できるだけ早期に関係の改善を図ることが求められる。
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