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リサーチ・アイ No.2021-041

IMFが警戒を強める暗号資産関連の金融リスク

2021年10月05日 谷口栄治


国際通貨基金(IMF)は、本年10月に公表した国際金融安定性報告書(Global Financial Stability Report)で、暗号資産(仮想通貨)に係る金融リスクとして以下の3点を指摘。

1つ目が「暗号資産エコシステム拡大によるリスク」。暗号資産の時価総額はボラティリティを伴って2兆ドルを超える水準にまで急成長しており、同市場の変動が金融マーケット全体に波及する恐れが増大。マネーローンダリングやテロ資金供与対策、消費者保護、監督・規制の実効性向上といった政策対応に遅れがみられることも課題。

2つ目が「ステーブルコインの台頭に伴うリスク」。1コイン=1ドルなど、法定通貨に連動するステーブルコインの時価総額が足元にかけて拡大。もっとも、流動性が低く、価格変動の激しい資産を裏付とするステーブルコインもあり、法定通貨への交換が相次ぎ裏付資産の投げ売りを余儀なくされた場合に、市場に悪影響を及ぼす恐れ。

3つ目が、「新興国における『暗号資産化』」。暗号資産は金融インフラが脆弱な新興国で浸透してきており、現地通貨が暗号資産に代替される事態(Criptoization)に陥る可能性あり。「暗号資産化」により金融政策の効果が喪失し、自律的な政策調整が困難になるリスクも。

これらのリスクを踏まえ、IMFは、①データ整備によるリスク監視能力の向上、②ステーブルコインに対する規制強化、③新興国における中央銀行デジタル通貨の検討、等を提言。わが国でも、各国の規制強化に向けた動きを注視し、今後の政策対応を検討する必要あり。


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