リサーチ・アイ No.2021-031
4~6月期法人企業統計の評価と2次QE予測
2021年09月01日 小澤智彦
4~6月期の法人企業統計季報によると、全産業ベースの売上高は前期比▲0.1%と、小幅ながら2四半期連続の減収。製造業は、輸出の回復を背景に輸送用機械を中心に増収。非製造業は、消費の下振れなどを背景に、2四半期連続の減収。3度目の緊急事態宣言の発令で人出が減少したことが響いたかたち。
全産業ベースの経常利益は、同+1.8%と、4四半期連続の増益。売上の増加を背景に製造業は同+7.4%と高い伸びとなった一方、非製造業は同▲1.9%と4四半期ぶりに減益。緊急事態宣言発令などによる人流抑制や休業・時短要請の影響が大きい宿泊・飲食サービス業は6四半期連続の赤字に。7~9月期の企業収益は、堅調な輸出を背景に製造業の回復が持続する一方、新型コロナの感染再拡大や4度目の緊急事態宣言発令を受けて個人向けサービス業の回復は緩慢となる見通し。
設備投資(ソフトウェア投資を除く)は、全産業ベースで前期比+3.2%と、2四半期連続の増加。多くの産業で、業績回復を背景にコロナ禍で中断していた投資を再開する動きが加速。
今般の法人企業統計などを織り込んで改定される4~6月期の実質GDP(2次QE)は、設備投資が上方修正される見込み。その結果、成長率は前期比年率+1.4%(前期比+0.3%)と、1次QE(前期比年率+1.3%、前期比+0.3%)から小幅に上方修正される見込み。
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