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リアル×バーチャルのハイブリッドで継続させる「きょういく・きょうよう」

2021年08月17日 山崎香織


 高齢者が張り合いを保つためのキーワードとして「きょういく・きょうよう」という表現があるのをご存じだろうか。「きょういく」は「”今日、行く”ところがある」、「きょうよう」は「”今日、用”事がある」という意味である。介護予防や社会参加といった言葉と意味合いは近いが、「きょういく・きょうよう」は自分自身や同世代の友達への励ましを込めてシニアが使う場面をよく見かける。

 その「きょういく・きょうよう」が、コロナ禍によりシニアの日常から突如として奪われた。地域の行事から趣味の活動に至るまで様々な対面の機会が無くなり、外出抑制が長期化するにつれて、高齢者の心身機能の低下傾向が懸念されることになった。
 ただ、最近になってようやく、以前はほぼ対面で実施されてきた町内会の会合やシニア向け講座を、活動の維持・再開に向けてリモートで開催する取り組みが徐々に見られるようになってきている。こうした取り組みは、もともと身体面の制約などの理由で外出が困難だった人も活動に参加しやすくなるという効果も生んでいる。例えばトイレが気になるという理由で外出を控えるようになるシニアは多い。こういった障壁を、リモート参加を前提にした活動は、乗り越えやすくしてくれる。

 さらに今後は、対面の活動をそのまま置き換えるだけでなく、一歩進んでリアルとバーチャルを組み合わせた新しい関係・活動が生まれる可能性もある。その際の留意点は気軽に、あるいは特技を生かして取り組める「役割」を各参加者に担って貰い、さらに結果を簡単に共有できることである。例えば地域の歴史や防災に関するオンラインマップの作成や、手芸が得意なシニアと手芸品を必要とする親・子どものマッチング、さらにはモノづくりが得意なシニアと自助具を必要とする人・専門職のマッチングなどは、リアルな場や活動を持ちながらバーチャルで参加する人をも巻き込めるようにすることで、シニアを含めた様々な世代が参加しやすい形になると考えられる。

 また、分身ロボットやアバターを活用して交流・仕事の場に参加したり、疑似的な旅行体験を味わったり、自宅でVR/ARを活用して体操やリハビリに励んだりする新しい用事の作り方も考えられる。「(私には障がいがあるけれど)eスポーツは障がいの有無に関わらず戦えるのが魅力」という声を聴いたこともある。私たちが検討する仕組み・サービスにおいても、バーチャルの活用を通じて、リアルでは実現できていないことを含めた、よりフラットな関係づくりを工夫していきたい


※記事は執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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