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リサーチ・アイ No.2021-028

国際商品市況の高騰で本年上期1.4兆円の所得流出 ― ほぼ全業種で交易条件が悪化 ―

2021年08月03日 小澤智彦、内村佳奈子


国際商品市況が高騰。商品市況は昨夏から世界的な上昇に転じており、6月は前年比(全商品)で+62%の上昇。エネルギー価格だけでなく、食料品や金属関連など幅広い商品で上昇。これには、米欧などで新型コロナ禍からの経済再開により需要が急増していることが背景。最近では、木材など一部の商品で価格上昇は一服しているものの、総じてみれば高水準での推移が継続。

国際商品市況の高騰はわが国にも波及。輸入物価が大きく上昇しており、6月の前年比は+26%。非資源国であるわが国は、輸入額全体の約2割を鉱物性資源が占めており、それらを中心とする資源価格の上昇が輸入物価を押し上げ。一方、機械類のウェイトが大きい輸出物価の上昇は同+9%と相対的に小幅。

輸入物価の大幅な上昇により、交易条件(輸出物価と輸入物価の比)が悪化。業種別にみると、石油・石炭製品、非鉄金属、鉄鋼などの川上セクターを中心にほぼすべての業種で交易条件が悪化。

交易条件の悪化は、企業が仕入価格の上昇を販売価格に転嫁できないことなどに起因。企業収益を悪化させるほか、経済全体でみれば、海外への所得流出に。本年上期の海外流出額(交易損失)は1.4兆円にのぼっており、純輸出の増加分(5.2兆円)の3割弱が相殺される計算。今後も、国際商品市況の高騰による景気下押しリスクに注意が必要。


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