① 分散型治水の実現(ステークホルダーの巻き込み) ② 既設ストックの災害利用における持続可能なビジネスモデルの構築(ステークホルダーの活性化) ③ 気象予測精度の向上(ステークホルダーとの折り合い)
これら3つの概要を以下に紹介する。 ① 分散型治水の実現 1つの施設であれば大きな貯水機能は持っていないものの、複数の分散している施設をデジタル技術でつなぎ合わせることで莫大な貯水量が可能と見立てて管理・運用する「分散型治水」が実現できれば、既設ストックを最大限活用可能となる。このような小規模分散型が大規模な影響力を持つためには施設間、また管理者間の連携が必要不可欠だ。
② 既設ストックの災害利用におけるビジネスモデルの構築 流域関係者全体で取り組む場合、視点として重要となるのが財源面で持続可能であるかどうかである。持続可能とするためには「防災は国や自治体が取り組むもの」から「国民全員で取り組むもの」に意識を変えなければならない。そのためには防災に資本投下することがマイナスからゼロではなく、事業として回るビジネスモデルが必要となる。また、流域の住民や田んぼ等を保有する市民等との合意形成も重要である。
③ 気象予測精度の向上 治水機能を高めるだけでなく、利水ダム等を治水目的に利用したことに伴う損失を最小にするために気象予測精度の向上は欠かせない。技術により気象予測の精度が向上し、ダムの運用側でも精度の向上した気象データを活かせるようにシステム面の強化を図れば、余裕をもって水位調整ができるうえ、利水ダムの治水利用によるネガティブな影響も最小にできる。気象予測精度の向上は治水のみならず、多目的ダムの利水利用の機能をも高めることに繋がる。渇水リスクが低減するうえ、たとえば農業では大雨や干ばつの予測に応じて農作物や栽培時期を選択し収益向上を図ることが可能となるかもしれない。