リサーチ・アイ No.2021-019
日銀短観(6月調査)予測 ― 製造業は大幅改善、非製造業は限定的 ―
2021年06月18日 内村佳奈子
7月1日公表予定の日銀短観(6月調査)では、国内外での経済活動が持ち直すなか、製造業を中心に景況感の改善が示される見込み。
大企業・製造業の業況判断DIは、前回調査対比+12%ポイントの改善を予想。海外経済の回復を受けた輸出の増加が景況感を押し上げ。円安傾向が続いていることも企業収益の改善に寄与。業種別にみると、自動車をはじめとする加工業種を中心にDIが上昇する見通し。中小企業の景況感も大企業と同様のテンポで改善すると予想。
非製造業の回復は限定的。大企業・非製造業の業況判断DIは、同+2%ポイントの小幅改善にとどまると予想。堅調なソフトウェア投資に支えられ情報サービス業のDIは底堅く推移するものの、緊急事態宣言の再発令で打撃を受けた、個人向けサービス業や宿泊・飲食サービス業などのDIは底這いを続ける見込み。
先行き(9月調査)は、全規模・全産業で6月調査対比+10%ポイントの改善を予想。ワクチン接種が進展することにより、経済活動が回復に向かうとの期待感が景況感を押し上げる見通し。
2020年度の設備投資額(土地投資を含み、ソフトウェア投資を除く)は、全規模・全産業ベースで前年度比▲6.3%の減少の見込み。新型コロナによる経済活動の停滞の影響が大きかったことから大幅に下振れ、2年連続で前年度比マイナスでの着地となる見込み。もっとも、製造業を中心に投資を再開する動きが出始めていることなどから、修正率は前回調査対比▲0.9%と小幅な下方修正にとどまる見込み。
2021年度の設備投資計画は、世界経済の持ち直しを受けたわが国景気の回復が見込まれるなか、前年度の落ち込みを取り戻す動きにより、全規模・全産業ベースで前年度比+2.0%の増加を予想。もっとも、新型コロナを巡る先行き不透明感は拭い切れていないほか、業種間で収益環境の改善に差がみられることから、前回調査対比+0.6%の小幅な上方修正となるほか、その後も例年に比べ慎重な足取りが続く見込み。
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