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国際戦略研究所 研究員レポート

【中国情勢月報】香港の選挙制度の変更が意味するもの

2021年04月26日 副理事長 高橋邦夫


先月の本月報で紹介した今年の全国人民代表大会(全人代)で決まった香港の選挙制度の変更について、その後中国当局は文字通り「短兵急に」変更の手続きを進め、3月30日に終了した全人代常務委員会第27回会議で、変更の詳細が決められた。それを受けて、香港政府は更に変更を要する香港で適用されてきた条例などの改正も進める一方、昨年1年間の延期がなされ、今年9月5日に予定されていた立法会議員選挙を、今年12月まで再延期した。

今月は、こうした香港の選挙制度の変更とその背景、それに対する各国の反応、そしてそれらが意味することについて考えて見たい。

1.「選挙委員会」の人数・選出方法変更の詳細

これまで、行政長官を選出するために設けられてきた「選挙委員会」に、全人代で新たに立法会議員の一部を選出する権能が与えられ、またその人数も増加することが決まったが、その詳細が決められた。

(1)「選挙委員会」メンバーの内訳

全人代で、これまで1,200名であった「選挙委員会」メンバーを1,500名に増員することは決まっていたが、今回、その具体的なグループ分けの内容が次のように決まった。

・第1グループ:工商・金融界     300名
・第2グループ:専業界(注)     300名   
・第3グループ:基層・労工・宗教界  300名
・第4グループ:立法会議員・地区組織 300名
・第5グループ:香港選出の全人代代表・政協委員・全国的団体メンバー 300名
(注)「専業界」とは、法律家・医師など専門的職業の人々のグループを指す。

(2)各グループ内での人数内訳

各グループの詳細な内訳も示した。例えば、第1グループ「工商・金融界」を見ると、工業界(第1)17席、工業界(第2)17席、紡績・縫製業界17席、ビジネス界(第1)17席、ビジネス界(第2)17席、ビジネス界(第3)17席 金融界17席 金融サービス界17席 保険業界17席 不動産・建設業界17席 航空・運輸・交通業界17席 輸出入業界17席 旅行業界17席 ホテル業界16席 飲食業界16席 問屋・小売業界17席 香港雇用主連合会15席 中小企業界15席の計300席であり、同様に各グループ内の詳細な人数配分が示されている。

(3)「選挙委員」の選出方法

更に、夫々のグループ内での「選挙委員」の選出方法についても、事細かに決められた。各小グループの「選挙委員」については、法定機構・諮問組織・関係団体の責任者などが選出するという原則を記した後、「一部の(選挙)委員は・・・から指名する」と具体的に示している。例えば、第2グループの「専業界」には、「法曹界30席」があるが、「そのうちの9席については、中国法学会の香港理事の中から指名する」と規定している。また、同じく第2グループに属する「スポーツ・演芸・文化・出版業界30席」については、「15席を中国香港体育協会及びオリンピック委員会、中国文学芸術連合会香港会員総会、香港出版総会から指名する」とされている。

2.立法会議員の人数及び選出方法の変更

これまで「一国二制度」を具現化し、香港の「民主主義」を担っていると見なされてきた、またそれがゆえに今回の選挙制度変更の核心である「立法会」の議員数および選出方法も次のように変更された。…

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