コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

会社情報

ニュースリリース

2021年04月27日

各位

株式会社日本総合研究所


地域企業連携による「新しい配電事業」促進のための政策提言

~エネルギー地産地消やスマートシティ産業創出でサステナブルな街づくりに貢献~



 株式会社日本総合研究所(本社: 東京都品川区、代表取締役社長: 谷崎勝教)は、サステナブルな街づくりを支える新しい配電事業の実現を目指し、「ローカルグリッド研究会」(※、以下「本研究会」)を2021年1月に立ち上げ、参入を希望する民間事業者の意見の集約を行ってきました。今般、新しい配電事業のビジネスモデルとその実現のための制度設計に関する本研究会での検討の成果として、政策提言レポート『「サステナブルな街づくりを支えるローカルグリッド」展開に向けた政策提言』を取りまとめました。

■目指すべき姿
 2020年6月に配電事業ライセンス制が創設され、異業種企業による配電事業への新規参入が可能となりました。今後は、インフラ企業を中心とした複数の地域企業の連携による新しい配電事業が各地で始まることが見込まれています。
 広域を担う一般送配電事業者とは異なり、地域企業による新しい配電事業者には、配電インフラを核としながら、カーボンニュートラルや快適な暮らしのためのサービスなど、送配電以外の新しい価値を地域にもたらすことが期待されています。
 そのため、2050年のカーボンニュートラル時代の標準となる次世代のエネルギーシステムを構築した上で、災害時に電力供給を行えるレジリエンス価値や電力データを活用した地域公共サービスの生活価値を創出し、地域価値向上に貢献する配電事業を実現するべきと考えます。

地産地消による分散型エネルギーへの転換
 新しい配電事業は、コスト面で有利な太陽光発電(PV)を積極的に活用することが想定されることから、カーボンニュートラル実現にも貢献します。使われるエネルギーシステムは、外から地域に与えられる電力を分配する中央集中型ではなく、地域が主体となって電力をつくり分配する分散型です。配電事業者は、配電網という、いわば1つの街単位において、住民や小売店など各種事業者と連携し、地域内で電力の需給調整を完結させます。
 また、PVによる電力を地域内で需給調整するためには、これまで異なる仕組みとされてきた、移動型エネルギー(自動車)と定置型エネルギー(住宅・ビル)を一体化させることも欠かせません。稼働率の低い自動車(EV)を蓄電システムとして最大限活用することで、需給調整コストを抑制し、分散型エネルギーシステムに最適な配電事業モデルの実現を図ります。

地域インフラの統合管理
 現在、電力、ガス、水道、交通という地域インフラは、それぞれ個別に管理・運営が行われており、工事作業やインフラ監視に非効率な部分が残っています。そのため、IoT化によって、各インフラの統合・共同化を進めることが必要です。また、電力の消費データから人の活動や設備の稼働の状況を把握するデータ基盤を構築し、隣接する街区と連携しながら効率的なサービス提供ができる新たなインフラに生まれ変わらせることによって、次世代の街として発展させることが可能となります。

事業者連携によるスマートシティ産業の創出
 新しい配電インフラを活用することで、送配電以外の新しい価値を地域にもたらすことが可能です。例えば、電力の消費データから得られる需要側ニーズを見極めながら、スマートシティのインフラサービスを効率的に提供することなどが考えられます。
 配電事業者が、電力をはじめ、ガス、鉄道、電機メーカー、情報システム、建設、不動産など関連する産業をまとめる産業プロデューサーとなることで、異業種連携によるスマートシティ産業が創出されることが期待できます。

■政策提言
 本研究会では、新しい配電事業の阻害要因を明らかにしたうえで解決方法を検討し、政策提言としてまとめました。概要は以下のとおりです。
 1つ目は、参入障壁です。配電事業自体の収益性はそれほど高くなく、また、一般送配電事業者との情報ギャップによって事業リスクが不透明であるため、配電事業者候補が参入に踏み込みにくい事態が想定されます。さらに、参入意欲があっても、今のところ、一般送配電事業者が事業検討に対応してくれる保証がありません。それらの面において、配電事業を支援する制度設計が必要です。
 その他、過度なレジリエンス対策を事業当初から求めることも、配電事業者の立ち上げを難しくします。PVの導入を個人任せにするのではなく、地域単位での導入拡大の支援制度やEVをエネルギー利用することへの支援制度も重要です。
 2つ目は、希薄な地域コミュニティです。地産地消による新たな配電事業を実現させるには、既存の街区(ブラウンフィールド)と円滑な関係をつくることが鍵となりますが、現代では地域コミュニティの人間関係が希薄であったり、地域の代表者も明確でなかったりすることが少なくありません。そのため、配電事業者が地域と協力しようと考えても、その相手を見つけることが難しくなっています。また、地域活動が衰退し、地域の省エネ活動にも住民の参加が得られないなど、地域合意の停滞が配電事業の普及の障害になりかねないケースは多数存在します。
 こうしたことから、地域内の利害調整を円滑に行うには、自治体の関与が不可欠です。これまで自治体は配電とは距離を置いてきましたが、今後は、水道と同様に、主体的に関与することが必要と考えます。
 3つ目は、事業の成長性を認めない送配電事業制度の考え方です。中立性が求められる送配電事業は、一方で事業成長をすることは前提とされていません。
 新しい配電事業の立ち上げにおいては、PVやEVを含めた多くの設備が必要ですが、それらに対する国内外からの投資を促進するためには、事業としての成長が追求できる制度に設計し直さなければなりません。例えば、一般送配電事業者が新しい配電事業の後押しをすることによってメリットが享受できる仕組みや、EVのインフラ整備に対して配電事業者や新たな技術を投じる企業と積極的に連携し、新たな配電事業を後押しする制度設計などが考えられます。


大項目

中項目

小項目

地産地消を

促進する

政策支援

地域のカーボンニュートラル実現

地域が共有するPV設置に対する税制優遇措置

地域でのPV設置に伴い発生する施設リフォーム・リノベーションに対する補助

複数街区連携による価値向上

複数6600V配電網エリアの一括運用

22000V66000V配電網への対象拡大

複数街区の連携を進める配電事業計画の優先評価

配電網オペレーション情報の開示

設備コスト、維持運用コスト、修繕コストの開示

配電設備の将来修繕計画

配電事業者が地域の制御を行う権限の付与

地域の電気事業者からの発電、小売に関する情報の集約

地域のPVEVからの利用優先の指示

付加価値のある配電事業へのインセンティブ付与

広域送電網に頼らない地産地消収入

広域での再エネ調整力を代替する調整力収入

要望への対応の義務化

「配電事業者提案」の仕組み導入

対象としない場合の基準の明確化

公平性・透明性を確保した事業者選定プロセスの明示

PPP/PFIの「競争的対話スキーム」の導入

第三者による評価の枠組みの導入

自治体の

積極的関与

自治体の協力を引き出す制度設計

電気事業を所管する経済産業省(資源エネルギー庁)と自治体・水道事業を所管する総務省の連携

自治体の災害対応計画、公益事業運営方針などの上位計画策定と連携しやすい移管プロセスの策定

単年度財政、硬直的な入札制度に関する地方自治法改正

自治体によるBCP/DCPの実現

自治体による配電事業者を通じた防災拠点強化方針策定

配電事業者の災害時電力供給確保の取り組みに対する予算措置

事業者連携

一般送配電事業者が事業成長に取り組める制度設計

一般送配電事業者による投資余力創出の機会創出

一般送配電事業者による配電事業への出資の推進

EVのエネルギー活用の政策支援

EVのエネルギー蓄電利用の普及のための補助制度の創設

EV充放電のシステム開発の補助制度の創設

配電事業関連技術の標準化を図る活動の支援制度の創設

サステナブルファイナンス活用促進

政策当局によるサステナブルファイナンスを活用した配電事業のモデルの提示とその活用の推奨


 政策提言の詳細につきましては、政策提言レポート『「サステナブルな街づくりを支えるローカルグリッド」展開に向けた政策提言』をご参照ください。



※ローカルグリッド研究会
株式会社日本総合研究所が2021年1月に設立した、地域の配電事業の事業モデルの検討と政策提言を行う民間企業研究会。都市ガス、鉄道、建設、石油元売り、システム関連の事業者11社が参画している。
地域密着型の配電事業の事業モデル検討と政策提言を行う研究会を設立(2021年2月1日)
https://www.jri.co.jp/company/release/2021/0201-2/

以上

■本件に関するお問い合わせ先
【報道関係者様】広報部              山口 電話:080-7154-5017
【一般のお客様】創発戦略センター         瀧口 電話:090-5508-2658

 
会社情報
社長メッセージ

会社概要

事業内容

日本総研グループ
ニュースリリース

国内拠点

海外拠点
環境への取り組み
ダイバーシティへの取り組み
メディア掲載・書籍
インターンシップ

会社情報に関する
お問い合わせ