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大きく変わるRE100の達成方法
~非化石価値取引市場の抜本改革、環境価値は需要家が直接調達する時代へ~

2021年04月23日 早矢仕廉太郎三木優


1.非化石価値取引市場の抜本改革、環境価値を需要家が直接調達できる時代へ
 2021年3月26日に開催された第48回電力・ガス基本政策小委員会制度検討作業部会にて、非化石価値取引市場の抜本的な制度変更案が資源エネルギー庁より提示された。提示された制度変更案では、現行の非化石価値取引市場を、再エネ価値取引市場(仮称)と高度化法義務達成市場(仮称)の2市場に分離し、FIT非化石証書を取り扱う再エネ価値取引市場では、大口需要家の市場参加を認めることとされている。
 今回の制度変更は、確実にRE100の達成方法に大きな影響を与えるものであるが、電力政策が複雑であるがゆえに、どのような影響を与えるのか分かりにくいと感じる企業も多いのではないか。
 本稿では、今回の制度変更により調達方法がどのように変わるのか、RE100の達成を目指す企業が今後どうしていけばよいのかについて解説する。



2.非化石証書に介在していた3つの課題と解決の方向性
 RE100を達成する方法は、①自ら再エネ発電を行う(自家消費、自己託送等)、②環境価値のある電気を購入する(オンサイトPPA/オフサイトPPA)、③環境価値クレジット(非化石証書、Jクレジット、グリーン電力証書)を購入する、の大きく3つに分けられる。RE100の達成に向けては、複数の方法を組み合わせる企業が多く、中でも環境価値のクレジット購入は比較的ハードルが低いことから、企業が比較的検討しやすい手法である。
 一方、最も日本で取引量の大きいクレジットである非化石証書は、①小売電気事業者を介してしか調達できないこと、②RE100の基準を満たすトラッキング付き非化石証書は、非化石証書全体の1~2%程度しか流通していないこと、③他のクレジットに比べ価格が高いこと、が課題となっていた。今回の制度変更によって、それぞれの課題が解消し、非化石証書をより環境価値のクレジットとして使用しやすくなることになる。



3.企業の目的に合わせた非化石証書の調達方法
 今回の制度変更を踏まえ、企業の目的に合わせた非化石証書の調達方法を整理してみよう。企業が非化石証書の活用を検討する際に、社内で把握しておくべきは①追加性が欲しいか、②再エネ価値取引市場の参加要件を満たすか、の2点である。
 近年、再エネの新規追加に資する「追加性」を、企業の再エネ調達に求める動きが海外を中心に増えている。今回企業が直接調達できるようになったFIT非化石証書は、RE100の基準は満たすものの、追加性を有する環境価値ではない。非化石証書を活用し、追加性を満たしたい場合には、直近報道のあったセブン-イレブンのように、小売電気事業者とFIT制度に依存しない電源を活用したオフサイトPPAを結ぶことで、非FIT非化石証書を小売電気事業者から取得することが可能である。
 とはいえ、「追加性」を求められる企業は現時点で多くなく、RE100を達成できればよいと考えている企業が大半あろう。そういった企業は、次に、企業自らが再エネ価値取引市場に参加できるかを確認することが必要である。現時点で参加要件は明らかになっていないため、今後の制度設計に注視が必要であるが、市場参加できる場合には、企業自らが市場に参加し非化石証書を購入し、市場参加ができない場合には、小売電気事業者の非化石証書付き小売りプランを選択することで、非化石証書を間接的に手に入れることができる。



4.シンプルになったRE100達成方法:非化石証書購入をメインにしつつ、企業に合わせた調達方法を選択せよ
 今回の制度変更によって、企業が直接トラッキング付きのFIT非化石証書を調達できるようになったことはもちろんのこと、調達価格が下がることで、RE100の達成方法は費用と手間の面でシンプルとなった。今後のRE100達成手段の主流がFIT非化石証書になることは間違いないであろう。一方で、今後のFIT非化石証書の価格水準、再エネ価値取引市場に参加できる企業の要件等の制度に関する不透明な部分はまだまだ多く、今後も制度設計を注視していくことが必要である。加えて、諸外国においては、証書のみで達成するのではなく、複数の手段を組み合わせていくことが一般的である。自家消費、オフサイトPPA等様々な選択肢がある中、企業の目的、リソース等に合わせてカスタマイズしていくことが重要である。

※記事は執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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