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リサーチ・アイ No.2020-073

2020~2022年度改訂見通し ―2021年度下期にかけて景気の持ち直しが再び明確化―

2021年03月09日 村瀬拓人


2020年10~12月期の2次QEは、実質GDP成長率が前期比年率+11.7%(前期比+2.8%)と、1次QE(同+12.7%、同+3.0%)からほぼ変わらず。昨年末にかけて新型コロナの流行が再拡大する直前までは、経済活動の急回復が続いていたという景気認識に変更なし。

先行きを展望すると、2021年1~3月期は、緊急事態宣言の再発令に伴い3四半期ぶりのマイナス成長となる見通し。もっとも、本年入り後の月次の経済指標をみると、感染リスクの懸念がサービスに比べ小さい財消費が底堅く推移しているほか、中国を中心とした海外需要の増加も景気の下支えに。このため、1都3県の緊急事態宣言の再延長は個人消費の下押し要因ではあるものの、今回の改訂では1~3月期の成長率見通しをやや上方修正。3月中に緊急事態宣言が解除されれば、経済活動の水準が急回復することで、4~6月期は高めのプラス成長が実現する見通し。

夏場にかけては、再び成長率が大幅に鈍化。ワクチンの普及に時間を要するとみられるなか、引き続き新型コロナの感染者数をコントロール可能な水準に抑制するための様々な活動制約が残るほか、失業率の上昇など雇用環境の悪化が、景気回復の重石となる見通し。

秋以降は、高齢者を中心にワクチンの普及が進むことで、再び景気回復基調が明確化していくと想定。日本のワクチン接種に向けた取り組みは、諸外国に比べ遅れているものの、政府は、重症化リスクが高いとされる高齢者への接種を可能な限り急ぐ方針。新型コロナ流行後の個人消費を家計のタイプ別にみると、とりわけ高齢者世帯で消費活動の慎重姿勢が明確化していることから、高齢者にワクチンが普及すれば、消費活動も活発化すると期待。

結果として、2020年度の成長率は、緊急事態宣言の再発令の影響もあり▲5.0%のマイナス成長となる一方、2021年度は+4.0%、2022年度は+2.3%とプラス成長に転じる見通し。GDPの水準は、2022年入り後、新型コロナ流行前(2019年10~12月期)の水準を取り戻し、2022年末には消費増税前のピーク(2019年7~9月期)を回復すると想定。
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