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2009年06月18日

低迷が持続するわが国経済 ~ 回復は2010年末にズレ込む見通し ~

要 約
1.  わが国経済は、3月以降、製造業を中心に持ち直しの動き。もっとも、最終需要の自律的回復という側面はみられず、①在庫調整の一巡、②政府による景気刺激策、という一時的な押し上げ効果が大。内外経済の先行きには依然として不透明感。
2.  海外経済を展望すると、中国経済は、積極的な景気刺激策に支えられて、底堅い成長が持続する見通し。もっとも、中国での景気牽引役が固定資本投資であるのに対し、わが国輸出の主力は製造業向けの部品・資本財であるため、中国の景気対策がわが国経済に与えるプラス影響は限定的。中国向け輸出が回復するには、中国の欧米向け輸出の拡大が必要。
 一方、米国経済は低成長が長引く見通し。住宅市場、家計のバランスシート調整、金融機関の不良債権問題などがネック。さらに、国債増発に伴う金利上昇圧力も増大。景気下振れリスクが払拭できない状況。
 こうした海外経済の動きを踏まえると、米国を最終需要地とする部品・資本財輸出の低迷が長期化することに加え、回復が明確化している中国向け輸出の伸びも期待できないため、わが国輸出は回復感に乏しい状態が続く見通し。
3.  国内経済を展望すると、①デフレ圧力、②設備ストック調整圧力、③人件費調整圧力、の三つの調整圧力がマイナス影響。
  a.デフレ圧力
    足元のGDPギャップは▲8%超にまで拡大。大幅な需要不足により低価格競争
   が広がるため、消費者物価の下落傾向が明確化。さらに、デフレ傾向は長期化の公
   算。GDPギャップが解消するのは早くても2015年で、この間は物価下落圧力が根
   強く残存。
  b.設備ストック調整圧力
    製造業の設備過剰感は過去最高水準。今後、新設投資の抑制、既存設備の廃棄な
   どを進めたとしても、設備過剰感の解消には少なくとも2年を要する見通し。この
   結果、設備投資の低迷も長引く公算大。
  c.人件費調整圧力
    労働分配率は過去最高水準。今後、人件費を削減する動きが本格化。中長期的な
   労働力不足に対する懸念から、深刻な雇用削減は回避されるとみられるものの、
   ボーナスを中心とした給与引き下げ圧力は強まる見通し。
4.

 わが国経済は、内需の自律的な回復力は脆弱で、基本的には外需に依存する構図は変わらず。景気刺激策も、一時的なプラス効果は期待できるものの、わが国経済を本格回復に至らせるには力不足。結局、わが国経済が回復に転じるのは、米国の住宅・消費・金融各セクターの構造調整の終了待ちという状況。
 以上を踏まえれば、わが国景気は当面は一時的にプラス成長が見込まれるものの、内外需要の低迷を背景に、2009年度後半から再びゼロ成長になる公算大。景気が回復に向かうのは、2010年末以降と判断。実質GDP成長率は、2009年度に▲3.5%、
2010年度に+0.3%と予想。
 さらに、景気下振れ要因として、①米国経済の失速、②原油価格の高騰、③円高、④新型インフルエンザ、などを指摘可能。景気が二番底に向かうシナリオも排除できず。

   
目次
 
  1. 現状

  2. (1)製造業を中心に持ち直しの動き
    (2)要因①:在庫調整が進展
    (3)要因②:景気対策の効果


  3. 海外経済と輸出
    (1)中国経済
    (2)米国経済
    (3)輸出の展望

  4. 国内経済
    (1)三つの調整圧力:a.デフレ
    (2)三つの調整圧力:b.設備ストック
  5. (3)三つの調整圧力:c.人件費

  6. 景気見通し
    (1)景気回復の条件
    (2)
    景気のコース
    (3)下振れリスク

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