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2009年03月23日

米国の景気対策とわが国及び国内各地域の輸出への影響

要 旨
1. 2008年のわが国の米国向け輸出は、米国経済悪化の影響で前年比15.9%減となったが、依然として最大の輸出先である(次いで中国12.9兆円)。1月は前年比52.9%減とさらに大幅なマイナスとなったが、他方、米国では2009年2月17日に総額7870億ドルの景気対策法 が成立した。
2. 大型の景気刺激策によって、わが国および国内各地域の輸出がどの程度誘発されるのか試算した結果によれば、景気対策法による直接的な政策需要の増加だけでは、わが国の輸出に対する誘発効果は限定的である。これは、歳出の内訳のうち州・地方政府向け支援や失業者対策など輸入増加(わが国からみれば輸出増加)につながりにくいものが多いことや、個人減税が自動車購入に回る可能性が小さいとみられることによる。
3. 米国の個人消費が大幅に落ち込んでいることによって、わが国の米国向け輸出は▲1兆5306億円の影響を受けている。内訳では、自動車・同部品が▲1兆2492億円と突出して大きく、以下、情報通信機械▲882億円、電気機械▲616億円、電子部品・デバイス▲508億円などである。
4. 一方、米国の景気対策法による歳出増加で期待される輸出増加は2812億円である。内訳は、自動車・同部品637億円、一般機械546億円、電子部品・デバイス343億円などである。また、米国の個人減税によって期待される輸出増加は1300億円である。内訳は、情報通信機械488億円、電気機械333億円、電子部品・デバイス174億円などである。歳出増加と個人減税の合計では4112億円であり、個人消費縮小による影響▲1兆5306億円を補うことは難しいとみられる。
5. 地域別では、産業構造、貿易構造の違いによって、影響に濃淡が表れる。関西の米国向け輸出に対するプラス効果は、歳出増加と個人減税の合計で856億円であり、個人消費縮小による影響▲973億円を下回る点は全国同様であるが、中部や関東に比べて自動車産業の生産拠点が少なく個人消費減少による影響が相対的に小さいため、ほぼ相殺に近い状態となる。
6. 中部は、歳出増加と個人減税のプラス効果が計1176億円と関西を上回るが、自動車産業の最大の集積地であるため個人消費が減少している影響(▲8060億円)が圧倒的に大きく、プラス効果はマイナスの影響に遠く及ばない。関東では、歳出増加と個人減税のプラス効果が計1622億円と最大となるが、中部ほどではないにせよ自動車産業が集積している地域であるため、個人消費不振の影響が大きく(▲4175億円)、総計ではマイナスとなる。
7. 景気対策法による直接的な政策需要の増加だけの影響は限定的だが、金融面の対策や景気刺激策の波及効果が信用収縮の解消、消費者心理萎縮の改善などにつながれば、自動車需要不振のうち雇用や所得環境の悪化以上の落ち込みを引き起こしている異例な部分が解消され、直接的な政策需要増加による影響を上回る効果が生じるため、むしろこの動向が米国向け輸出回復の鍵を握る。
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