リサーチ・アイ No.2020-060
追加経済対策の成立で米国景気の腰折れは回避 ― 現金給付第2弾で2021年GDPを0.2%程度押し上げ ―
2020年12月22日 橘高史尚
米国では、新型コロナ第3波が深刻化するなか、多くの州が活動規制を強化。当面は規制の維持・強化が続くとみられ、事業・消費活動への逆風が強まるリスク。
企業部門では、規制の長期化に耐える資金的な余力に乏しい中小企業の資金繰りに懸念。米国商工会議所が実施した調査では、中小企業事業主の75%が追加支援が必要と回答。
家計部門でも、先行き、雇用・所得環境が悪化する見込み。事業環境の悪化を受け、一部の企業は人員整理に着手。来年春にかけて失業率の改善が停滞し、個人消費の重石となる見通し。
こうしたなか、12月初に提案された超党派案を基にした総額9,000億ドル規模の妥協案が近く成立する見通し。与野党間で意見が分かれていた地方政府への支援や企業をコロナ関連の訴訟から守る免責条項などは見送られたものの、給与保護プログラム(PPP)や失業保険の拡充が盛り込まれた結果、景気の腰折れは回避される見込み。
また、妥協案には、当初の超党派案には含まれていなかった現金給付第2弾が新たに追加。1人あたり600ドルと今春の第1弾に比べて規模は縮小したものの、来春にかけて家計所得を大きく増加させ、雇用の改善停滞の影響を上回って個人消費の押し上げに作用する見通し。個人消費の拡大により、2021年のGDPは通年で0.2%程度押し上げられると試算。
追加経済対策の成立で米国景気の腰折れは回避 ― 現金給付第2弾で2021年GDPを0.2%程度押し上げ ―(PDF:271KB)
