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リサーチ・アイ No.2020-059

米国がベトナムを為替操作国に認定~ドン高受け入れで、ベトナム景気に下振れリスク~

2020年12月18日 塚田雄太


米財務省は12月16日に発表した為替報告書でベトナムを為替操作国に認定。認定理由のうち対米貿易黒字や経常収支黒字の基準値超えはこれまでも指摘されていたものの、今般、為替介入が基準に抵触(図表1)。ベトナムの通貨ドンは管理フロート制の下でコントロールされているが、より柔軟な運用を求められる形に(図表2)。

ベトナム国家銀行は足元では既にドン売り・米ドル買いの為替介入を抑制している様子。実際、ドンの対ドルレート市場実勢レートは2020年6月以降、中銀公表の中央レートよりドン高傾向(図表3)。ドン高がベトナムの輸出に与える影響を試算すると、1%のドン高は輸出を1.2%下押し(図表4)。

今回の報告書で米国はベトナムに以下の4点を要求。
①為替介入の削減による経済ファンダメンタルズを反映した為替相場の実現
②透明性が高くかつ迅速な介入実績・外貨準備・対外バランス統計の公表
③金融政策の為替相場ターゲットからインフレターゲット制への変更
④国有企業改革など経済構造改革を実施し、米国企業が活動しやすい競争的な国内市場の実現と、それによる対
米貿易黒字の削減

米新政権は保護貿易主義的政策を転換しつつも、為替介入などには厳しいスタンスで臨み、公正な国際貿易ルール順守を求める模様。認定条件が基準値を下回らない限り、次期バイデン政権が為替操作国認定を取り下げる可能性は小。直ちに制裁には繋がらないものの、為替介入が行いにくくなるなか、これまで一貫して対ドルで減価が続いていたドンが増価に転じる可能性。その場合、ドン高が堅調なベトナム景気に対する下振れリスクに。



米国がベトナムを為替操作国に認定(PDF:276KB)

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