リサーチ・アイ No.2020-053
日銀短観(12月調査)予測 ―景況感の改善が続くも、新型コロナの影響が深刻な業種の改善は限定的―
2020年12月08日 北辻宗幹
12月14日公表予定の日銀短観(12月調査)では、国内外での経済活動が持ち直すなか、足許の景況感は、製造業・非製造業ともに改善する見込み。
大企業・製造業の業況判断DIは、前回調査対比+11%ポイントの改善を予想。業種別にみると、先進国で販売台数が急速に回復した自動車をはじめとする加工業種を中心に、輸出回復を背景にDIが上昇する見通し。一方、大企業・非製造業の業況判断DIは、同+8%ポイントの改善を予想。堅調なソフトウェア投資が景況感の押し上げに作用し、情報サービスが底堅く推移するほか、ほとんどの業種でDIが上昇する見通し。もっとも、新型コロナによる影響が最も深刻な宿泊・飲食サービス・対個人サービスでは、自粛ムードの残存に加え、感染拡大地域で時短営業や外出自粛が要請されていることを受け、改善幅は限定的となる見込み。
中小企業・全産業の業況判断DIは、前回調査対比+6%ポイントの改善を予想。国内消費の回復の遅れによる売上の低迷が重石となり、大企業に比べ、小幅な改善にとどまる見込み。
先行き(2021年3月調査)は、全規模・全産業で12月調査対比+1%ポイントと、小幅な改善にとどまると予想。国内外で新型コロナの感染が再拡大しており、流行の収束が見通せないなか、先行きの景況感も慎重な見方が続く見込み。
2020年度の設備投資額(土地投資を含み、ソフトウェア投資を除く)は、全規模・全産業ベースで前年度比▲3.2%と、前回調査対比▲0.5%ポイントの下方修正を予想。例年の12月調査では、中小企業を中心に投資計画が上方修正されるものの、今回は収益環境の大幅な改善が見込めないなか、設備投資を抑制する動きが拡大する見通し。もっとも、リーマン・ショック時に比べ、収益の落ち込みが小幅であったほか、金融機関の緩和的な貸出態度が維持されていることから、当時のような設備投資の大幅な落ち込みは避けられる見込み。
先行きについては、新型コロナの影響が深刻な業種を中心に投資の抑制姿勢が続くため、修正パターンは、例年に比べ慎重な足取りとなる見込み。
日銀短観(12月調査)予測 ―景況感の改善が続くも、新型コロナの影響が深刻な業種の改善は限定的―(PDF:262KB)
