金融安定理事会(FSB)は、11月11日、「グローバルなシステム上重要な銀行(G-SIBs:Global Systemically Important Banks)」の2020年版のリストを公表。選出された金融機関30社は前年と不変ながら、金融システム上の重要度によって区分されたバケット毎の変動をみれば、米JPMorgan Chaseがバケット4から3へ、米Goldman Sachsと米Wells Fargoがバケット2から1へ低下する一方、中国建設銀行がバケット1から2へ上昇。
G-SIBsに選出される金融機関数は30社前後とほぼ横ばいで推移しているが、内訳をみれば、欧銀が減少する一方、中国系銀行が増加。バケットの変動をみても、欧米銀が低下する一方、中国系銀行は上昇傾向。個別行の項目別スコアを比較すると、Deustche Bankは経営環境の悪化等を受けて事業の選択と集中を進めた結果、全般的に低下。これに対して、中国銀行は、規模のみならず、相互連関性や代替可能性、複雑性の項目も上昇。
G-SIBsリストにおける中国系銀行のプレゼンス向上は、中国の経済・金融動向が国際金融システムに与える影響の高まりを示唆。今後、中国系銀行の国際金融の枠組みにおける発言力や、国有である中国系銀行の台頭が公正な国際競争を阻害することへの懸念が高まる可能性。
(※)G-SIBsについて:①規模、②相互連関性、③代替可能性/金融インフレ、④複雑性、⑤国際的な活動、の5つの項目に分けて、各行のスコアを算出。一定の点数以上となった金融機関を「G-SIB」に指定。点数に応じて、5つのバケットに分類し、「G-SIBサーチャージ」と呼ばれる追加の資本賦課を実施。
G-SIBsリストにみる国際的な金融勢力図の変化 ー欧米のプレゼンス低下と中国の台頭ー(PDF:326KB)
