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ビューポイント No.2020-022

加速するサスティナビリティ重視の流れと政策上の課題-脱炭素に向けて金融市場の果たすべき役割

2020年11月09日 翁百合


コロナ危機により、特に環境面で、企業におけるSDGsへの達成貢献がグローバルに一段と注目されるようになった。コロナ感染が広がる中で、グリーンリカバリーの動きが欧州などを中心に広がっているが、日本でも菅総理の所信表明演説で2050年までのカーボンニュートラルが宣言され、環境と成長の両立に大きく舵を切る方向が示された。日本の2050年脱炭素の目標達成は容易ではなく、取り組むべき課題は数多くあるが、再生エネルギーの一層の活用を念頭に置いたエネルギー基本計画の見直し、脱炭素社会に向けたモビリティをはじめあらゆる産業でのイノベーションと投資の促進、持続可能なインフラ等の公共投資などにより、成長と環境を両立していく必要がある。

コロナ危機により、特に環境面で、企業におけるSDGsへの達成貢献がグローバルに一段と注目されるようになった。コロナ感染が広がる中で、グリーンリカバリーの動きが欧州などを中心に広がっているが、日本でも菅総理の所信表明演説で2050年までのカーボンニュートラルが宣言され、環境と成長の両立に大きく舵を切る方向が示された。日本の2050年脱炭素の目標達成は容易ではなく、取り組むべき課題は数多くあるが、再生エネルギーの一層の活用を念頭に置いたエネルギー基本計画の見直し、脱炭素社会に向けたモビリティをはじめあらゆる産業でのイノベーションと投資の促進、持続可能なインフラ等の公共投資などにより、成長と環境を両立していく必要がある。

グリーンリカバリーを実現し、脱炭素社会を構築していくには、様々な手法が必要となる。短期的にはコロナで打撃を受けた企業に対する政府支援と環境規制の組み合わせが考えられる。欧州などでみられるコロナ対策の政府支援の手法として興味深いのは、CO2削減を実質的に企業に義務付けている国が多いことである。日本でも、政府系金融機関の大企業への支援などの際、環境規制を義務付けたり、消費者への環境対応商品購入へのインセンティブを工夫したりすることが求められる。

また、今後改訂されるコーポレートガバナンス・コードにも、ESG要素を取締役会として一層考慮すべきことを記載していく必要がある。具体的には、経営陣がESG要素を考慮した経営戦略を立案し、独立社外取締役を中心とした取締役会が、サスティナビリティ委員会などを設けるなどの取組により、そうしたESG要素が適切かどうかを監督することが必要になるであろう。一層多くの企業が主体的に気候変動関連の情報開示に取り組む必要もある。

ただ、本格的に脱炭素を目指す以上、企業統治の強化、直接的規制、補助金といった政府介入といった方法に加えて、環境負荷をプライシングしてその費用負担を市場メカニズムに組み込むこと、すなわち炭素税、排出権取引といったカーボンプライシングの適用拡大を中期的に検討していくことが必要になる。

金融市場でも同様に、CO2のような外部不経済コストを内部化する方向で、中期的に脱炭素社会への転換を促す役割を果たすことを検討してはどうか。もちろん外部不経済コストの正確なプライシングは難しいし、現状広がりをみせているESG投資の投資パフォーマンスとの関係は必ずしも明確でもない。しかし、市場規律を一層働くようにするには、ESGに関連する様々な実務のシステマティックな環境整備が必要であろう。例えばCO2排出量などを反映した債券格付け、多くの評価機関による企業のESGスコアの改善、環境関連情報開示基準の収斂、財務会計への環境要素の包含(ESG会計)なども検討課題だ。これらの手法について時間軸を持ちつつ、総合的に検討を深める必要がある。

サスティナビリティの視点で、ダイバーシティについての企業経営者の意識を変えることも求められる。女性管理職比率、年代別正規社員比率、人材への教育・育成プログラムなどの開示を奨励して「見える化」することは効果があるだろう。投資家が人材という無形資産投資と企業価値向上との関係をより意識してエンゲージメント活動を行うなど、当該企業がダイバーシティの尊重に関心を持つことが期待される。また、環境問題と同様、ダイバーシティや従業員の働き甲斐、働き方などについて、サスティナビリティの観点から取締役が意識を持ち、サスティナビリティ委員会などで執行を監督していく必要もあるだろう。

・加速するサスティナビリティ重視の流れと政策上の課題-脱炭素に向けて金融市場の果たすべき役割(PDF:1148KB)
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