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リサーチ・フォーカス No.2020-015

IoT で加速する製造業のサービス化ーデータ主役時代の企業戦略

2020年08月06日 成瀬道紀


製造業のサービス化の重要性が指摘されて久しいが、これまでの議論では、サービス化の意義や個社事例の紹介が中心であった。本稿では、わが国製造業のサービス化を定量的に把握したうえで、今後の方向性を展望する。なお、製造業のサ
ービス化は、サービス部門の従事者増などインプット面の文脈で語られることもあるが、本稿では、売上高の側面から見たサービス化に焦点を当てる。

工業統計調査によると、わが国製造業のサービス収入は2010 年代入り後に増勢が加速し、直近の2017 年には1.1 兆円と2010 年の約3倍に達した。機械系の業種を中心に、メンテナンスなど顧客に販売した機器向けのサービスがけん引している。こうしたサービスが拡大している背景として、①ユーザーサイドで熟練技術者の引退や人手不足などによりメンテナンスを外部化するニーズが高まったこと、②IoT 技術の発展により、サービスの効率化・高度化が進んだこと、等が指摘できる。IoT によるデータを活用したサービスでは、メンテナンスに加え省エネ運転など製品の運用最適化のサポートなども多数見られるようになった。

ここにきて企業は、IoT によるデータ活用を発展させ、新たなサービス化のあり方を模索している。ファナック、コマツ、ダイキン工業などの先進的な企業は、製品単体の最適化を越えて、工場、建設現場、オフィス空間などの全体の最適化を目指す取り組みを具体化させている。複数の企業で協業してプラットフォームを形成し多様なデータを活用することで、顧客にとってより利便性の高いサービスを提供しようと試行錯誤している。このように、データが主役となる製造業のサービス化は、①IoT 技術の一層の発展、②新型コロナ禍による社会の変化、③サーキュラーエコノミーの浸透などにより、さらに加速していくと考えられる。

プラットフォーム上のデータを活用した製造業のサービス化は世界的に黎明期にあり、わが国企業が優位に立つチャンスが十分にあると考えられる。一方で、プラットフォーマーになれる企業は一握りである。それ以外の多くの企業がこの
新しい分野での競争に打ち勝っていくためには、スムーズにデータを抽出できる製品や、長期使用に耐える堅牢性のある製品の提供、あるいは、プラットフォームから得たデータに基づく最適な形での製品・サービスの提供、等の方策が考え
られる。

IoT で加速する製造業のサービス化ーデータ主役時代の企業戦略(PDF:655KB)
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