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【IT動向リサーチ】
量子コンピュータの概説と動向
~量子コンピューティング時代を見据えて~

2020年07月14日 先端技術ラボ


 本レポートでは、量子コンピュータ技術および動向を捉え将来展望を考察した。
 近年、AIやIoTの進展により世界中で発生・流通するデータ量が増大している。一方、ムーアの法則は限界に達しつつあり、従来型の古典コンピュータの性能限界がささやかれている。そのため、これら膨大なデータを利活用するために、半導体ではない新たな原理に用いた「量子コンピュータ」が大きな注目を集めている。
 量子コンピュータは、物理学の最小単位である「量子」が持つ特殊な性質を利用したもので、プログラムによって汎用的に計算を行う「量子ゲート方式」(ただし、高速計算が保証されているアルゴリズムは限られており、汎用的に高速ではない)と、組み合わせ最適化問題に特化した処理を行う「イジングモデル方式(含む、量子アニーリング方式)」に大別される。2011年にカナダD-Wave Systems社がD-Wave (量子アニーリング方式)を商用化、2016年には米国IBM社がIBM Q(量子ゲート方式)を発表し、量子コンピュータの実用化への一歩を踏み出し始めた。世界では既に、大型の国家プロジェクトが動き出しており、米国・EU・中国などが巨額の予算を投じ、取り組んでいる。日本でも、内閣府が量子イノベーション戦略を策定し、量子に関する研究開発を積極的に推進している。また、早慶・東北大学などは産学研究による活用研究を牽引しており、世界初の実用化が近づきつつある。
 一方、量子ビット数の規模が小さく現実問題を扱うのが困難なことや、量子の状態が壊れる量子エラーに対応できていない、などの技術的課題がある。将来的には、こうした技術的な課題が解決され、並行して、量子コンピュータを容易に利用できるソフトウェアやツール類が充実することで、多様な業界で量子コンピュータの活用が進展すると予想される。
 量子コンピュータの活用は、現時点ではイジングモデル方式(含む、量子アニーリング方式)の研究開発が先行している状況であり、その適用領域は製造・情報・交通・化学など、多岐にわたる。金融へ大きな影響を与える時期としては、10~15年後と予想されており、ポートフォリオ最適化や機械学習といった用途で活用の可能性がある。ユーザー企業においても、今後の本格活用に向け、技術動向や取組事例を注視していくことが肝要である。


量子コンピュータの概説と動向
~量子コンピューティング時代を見据えて~(PDF:3500KB)



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