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独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園における効果的な業務運営等に関する調査研究事業

2020年06月29日 高津輝章、横内健悟、郷原陸、濱田樹


*本事業は、2019(令和元)年度障害者総合福祉推進事業(厚生労働省)として実施したものです。

1. 事業の目的
 本事業は、独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園(以下、「のぞみの園」という)におけるより効果的かつ効率的な事業運営の方法を検討し、施策案(選択肢)を提示することを目的に実施した。

 のぞみの園は、昭和46年に開設した特殊法人心身障害者福祉協会を前身とする。のぞみの園は当初、全国の独立自活が困難な重度知的障害者のための総合的な福祉施設として設立され、重度知的障害者の施設入所(終生保護)を中心とした事業を運営してきた。その後平成15年に現行の独立行政法人の形態に移行するにあたって、のぞみの園では新規入所者の受け入れをしないことを基本方針とし、既存の入所者に関しては地域移行を推進するための支援を進めることとした。これは、ノーマライゼーションの理念に基づき、知的障害者の自立や社会参加を促進するという当時の社会的ニーズに即したものであった。
 独立行政法人化後、のぞみの園は重度知的障害者のモデル的支援を行う施設として、入所者の地域移行支援に加え、障害者支援に関する調査・研究、養成・研修および援助・助言、また診療所・生活介護・自立訓練といった多数の附帯業務などを通じて、知的障害者の福祉向上に貢献してきた。
 独立行政法人体制への移行後、のぞみの園では新規入所者の受け入れを停止し、入所者の地域移行を推進したことから、施設利用者数が減少している。平成30年度末までの地域移行者数は累計で174人にのぼり、平成15年度末に496人であったのぞみの園の入所者は、平成31年4月1日時点では225人と半数以下となった。入所者数の減少に伴って、のぞみの園では事業収入の減少や運営交付金の削減により、中長期的な運営維持が困難になりつつある。
 のぞみの園では今後も入所者数の減少に伴い、事業収入等の減少が見込まれている。この状況を受けて、平成29年度に開催された「(独)国立のぞみの園の在り方検討会」(以下、「在り方検討会」という)において取りまとめられた報告書では、同施設における運営の効率化、今後の事業内容および運営体制の見直しの必要性が提言されている。また、これらに関しては、収支分析を行いつつ、人員体制、雇用管理の在り方を含め、早期に検討に着手すべきとされている。
 また、のぞみの園は、独立行政法人としては中期目標管理法人に分類され、事業は中期的(5年)な目標・計画に基づいて行い、多様で良質なサービスの提供を通じて公共の利益を増進することが求められている。具体的には、厚生労働大臣が毎年度業務評価を実施することで政策のPDCAサイクルを強化し、目標・評価の一貫性・実行性を担保している。現在、のぞみの園は第4期中期目標・計画期間中であるが、当該目標においても業務運営の効率化、財務内容の改善等を図ることとされている。
 本事業は、以上のような背景をもとに、昨年度日本総研にて実施したのぞみの園の経営状況に関する分析結果も踏まえ、のぞみの園の運営改善のための具体的な施策案(選択肢)の検討を行った。翌年度以降および第5期中期目標期間以降の行動計画立案のための検討材料および示唆を提供することが目的である。

2. 事業の主な内容
【A】会議体の設置・運営
 本事業では、①事業進行状況の共有を行うとともに、②運営状況の分析並びに施策案(選択肢)の検討に当たって専門的かつ多様な見地からの意見を取り入れることを目的とした。そこで、障害者施設の運営・障害者福祉に関する学識者、社会福祉法人経営者、会計実務の専門家等の実務者からなる検討委員会を設置・運営し、調査の進め方、調査内容、とりまとめの方針等について適宜確認・助言を得る形で進めた。検討委員会は計5回実施した。

【B】課題の確認・整理
 昨年度における調査研究の結果も活用し、日本総研メンバーが、のぞみの園の運営状況に関する既存データの分析を行った上で、事業・サービス別の課題に関する初期的整理を行った。それらは、のぞみの園の個々の事業における課題や大枠の施策方針について、検討委員会が議論を行う上でのたたき台として活用された。

【C】支援内容の確認
 第三回検討委員会および第四回検討委員会の中で、各事業・サービスの実施意義を整理する観点から、のぞみの園における支援内容の詳細についてヒアリングおよび意見交換を行った。特に、のぞみの園の中核事業として位置づけられる強度行動障害者への支援内容、矯正施設退所者への支援内容に関しては個別にテーマを設定し、検討委員会の中で時間を割いて意見交換を行った。両テーマについては、より有意義な意見交換を行う観点から、検討委員に加えて、当該テーマにおける専門家を専門アドバイザーとして検討委員会に招聘した。

【D】民間事業者へのヒアリング調査
 事業運営上の工夫に関して実務的な知見を取り入れることを目的に、民間事業者へのヒアリングを実施した。民間事業者へのヒアリングは計5件実施した。ヒアリング実施先については、事業規模が大きく、先進的な取り組みを行っている法人・事業所の効果的な運営上の工夫を収集するという視点から候補を選定し、検討委員会で聴取した意見等を踏まえ決定した。

【W】施策案(選択肢)の検討
 検討委員会において聴取した意見、並びに民間事業者へヒアリングした結果を踏まえて、今後のぞみの園での取り組みを検討するための材料として、支援内容、調査研究・情報発信内容の高度化の観点、経営改善の観点から施策案(選択肢)を取りまとめた。

3. 本事業の主要な成果
 上記の調査分析および検討を通じ、本事業として、検討委員会における意見やヒアリングの内容をとりまとめるとともに、のぞみの園の効果的な業務運営等の実施に向けた提言をとりまとめた。提言内容の要旨を以下に記載する。(詳細は事業報告書を参照)

・のぞみの園に期待される役割
 これまでの役割に加えて、特に「調査・研究、その成果を踏まえた養成・研修の実践、知的障害関係施設等への情報発信」については、のぞみの園への期待が大きい機能であるため、さらなる機能の強化が求められていると考えられる。

・各事業の位置づけ・実施意義
 のぞみの園の実施する事業を「区分A: のぞみの園の中核事業」、「区分B: のぞみの園の中核事業に密接に関連する事業」、「区分C: のぞみの園の中核事業とは関連性が強くない事業」に分類する。
 区分A、区分Bに含まれる事業については、目指す支援の在り方の再設定、支援方法の見直し、支援の質の向上に努めることが適当と考えられる。
 区分Cに含まれる事業については、必ずしものぞみの園の中核事業との関連性が強くない事業であることから、事業の廃止を含めて、実施の意義・位置づけを整理することが適当であると考えられる。

・施策案(選択肢)
 支援内容、調査研究・情報発信内容の高度化に向けた施策案(選択肢)として、「調査研究・情報発信テーマの再設定」、「コンサルテーション機能の強化」、「支援部門と研究部門の連携強化」、「地域で実践する支援についての理解」の観点から整理した。
 経営改善に向けた施策案(選択肢)としては、「経営管理の高度化」、「直接業務の効率化・省人化」、「間接業務の効率化・情報共有の促進」、「経費の削減」、「組織風土の改革」の観点から整理した。

※詳細につきましては、下記の報告書をご参照ください。
【報告書】
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