リサーチ・フォーカス No.2020-009
注意したい対韓輸出管理強化後の「脱日本化」-国産化の進展により落ち込んだわが国フッ化水素の輸出
2020年06月25日 向山英彦
2019年7月1日に、経済産業省が輸出管理で優遇措置を与えていた「ホワイト国」(現在は「グループA」)から韓国を除外する方針を示すとともに、特定品目を包括輸出許可から個別許可に切り替えると発表してから、まもなく1年が経過する。
日本の対韓輸出管理強化後、韓国では輸入先の多角化や国産化など「脱日本化」が広がった。その影響を強く受けたのがフッ化水素で、輸出が再開された後も前年水準の2割程度にとどまっている。
これには、かつて日本から輸入した高純度の液体フッ化水素を用いて半導体用エッチング剤を精製していた韓国企業が、中国や台湾から液体フッ化水素を輸入し、生産に乗り出したことなどが影響している。
サムスン電子が現在、メモリの生産能力の拡張とファウンドリー事業の拡大を図っているほか、SKハイニクスが新工場の建設と関連産業のクラスター化を進める計画である。中長期的に、韓国の半導体産業の成長が見込まれる。
こうしたなか、シリコンウエハーで世界第3位の台湾系企業が韓国で増産するほか、デュポン(米国)が今年1月、EUV向けフォトレジストを韓国で生産する計画を発表した。フッ化水素以外でも、日本企業のシェアが低下する恐れがある。
以上のように、韓国での国産化や海外企業の現地生産が進んでいるため、日本企業には韓国ビジネスのスタンスの見直しが必要となっている。
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