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リサーチ・フォーカス No.2020-008

超高齢社会を支える債務保証システムとは

2020年06月18日 星貴子


2040 年には、単身高齢者の増加などにより、身寄りから身元保証人を立てることの難しい高齢者が1,000 万人以上となる見込み。「人生100 年時代の高齢者の身元保証を考える」シリーズでは、そうした人たちが、不利益を被らず、安心し
て自立した生活を送ることができる社会システムの構築を目指し、現行の「ヒト」に依存する身元保証制度に代わる新たな仕組みを検討。シリーズ第3 弾の本稿では、身元保証人に求められる四つの役割のうち「債務保証」について考察。

高齢者世帯については、経済力の弱さや孤独死、加齢による認知・身体能力の低下、健康状態の悪化が懸念され、一般的に他の世代に比べて、家賃や入院費の未収等、経済的リスクが高いとみられがちである。このため、家主、医療機関、雇用主などの債権者の多くは、「連帯保証人」や「身元保証人」を立てることが、経済的損失のリスクを回避、軽減するための最適な方法と考える傾向にある。しかし現実には、「ヒト」による身元保証は、債権回収の実効性が低いなど、未収金などを回収する手段として有効とは言い切れない。

ここにきて、債務保証を巡り新たな動きがみられ始めた。公的機関による家賃等の支払い代行サービスや民間事業者による「連帯保証人」の代行サービス、「連帯保証人」や「身元保証人」に代わる信用保証や身元信用保険といった金融サービスの利用が拡大。政府もこうした動きを後押ししているが、管理監督省庁が明確でないものやガイドラインすら示されていないものがあるなど、課題も多い。

近い将来、「身元保証人」を立てることができない高齢者が当たり前の存在になると予想されるなか、「ヒト」によらない債務保証の仕組みを普及させることは焦眉の急。個人保証(「ヒト」による債務保証)が慣行化している現状を踏まえると、次の3 ステップを踏んでわが国が迎える高齢化社会に相応しい債務保証の態勢を築くことが重要。まず、①管理監督省庁の設定や業務指針の作成などすでに動き始めている債務保証サービスの健全化を図る。次に、②住宅の賃貸時に家賃債務保証を義務付けるなどして個人保証から機関保証への移行を促進させるとともに、③人工知能(AI)による信用スコアやマイナンバー制度の積極的な利活用など高齢者の信用力が適切に判断されるような環境を整備。

超高齢社会を支える債務保証システムとは(PDF:1050KB)
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