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リサーチ・レポート No.2020-007

コロナ危機により増幅する金融リスク ~ 金融当局による”ポストコロナ”への対応が重要に ~

2020年06月16日 谷口栄治


コロナ危機により、国際金融市場は大きく混乱したが、中央銀行による潤沢な流動性供給等により、初期の混乱は収束した。もっとも、金融リスクへの対応はこれからが本番と言える。IMFや主要中央銀行は、今後のリスクとして、①コロナ危機長期化に伴う企業・家計債務への悪影響、②新興国・フロンティア市場での金融不安、③銀行セクターの低収益長期化、等を指摘している。

企業セクターについては、金融危機後に急拡大した高リスクのクレジット市場の脆弱性が懸念材料。積極的なリスクテイクを行う機関投資家等のノンバンクセクターにおけるリスクが高まっている状況。このほか、ユーロ圏諸国におけるソブリンリスクや、新型コロナウィルスの感染者が拡大している新興国での財政リスクや通貨リスクにも注意が必要。

今回のコロナ危機によって顕在化した金融リスクの背景には、金融危機後の緩和的な金融環境がもたらす副作用が存在する。そのため、金融システムの脆弱性という点では、今回の大規模な金融緩和は、寧ろ問題を大きくしたと言える。

今後重要となる金融当局による”ポストコロナ”の対応として、以下の項目が挙げられる。

- ソルベンシーリスクへの備え
コロナ危機、並びにその後のポストコロナの経済・社会情勢を受けた国内外企業の財務状況への影響を注意深く見ていく必要あり。

- ノンバンクセクターを中心した金融リスクのチェック
ノンバンクセクターにおける金融リスクの高まりに備え、各国当局は、各金融機関が過大なリスクテイクを行っていないか、定期的にチェックすることが肝要。また、必要に応じて、規制・監督の強化も検討すべき。

- 危機対応で緩和した金融政策の適切な修正
超緩和的な金融環境を受けた投資行動の歪み、金融不均衡といった副作用の顕在化を抑止するためにも、各国中銀は実体経済の動向を踏まえつつ、危機対応で緩和した金融政策を適切に修正していくことが求められる。

コロナ危機により増幅する金融リスク ~ 金融当局による”ポストコロナ”への対応が重要に ~(PDF:1,400KB)
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