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リサーチ・フォーカス No.2020-007

新型コロナ対策で見えた地方税の偏在-求められる住民の選択による地方財政運営

2020年06月16日 蜂屋勝弘


休業要請等に協力した事業者に対する「協力金」など、新型コロナウィルス対策として地方自治体が独自に実施している給付金については、自治体ごとに制度設計が異なっており、金額にも差がみられる。

これらの主な財源は、各自治体の財政調整基金である。財政調整基金は都道府県合計の残高の約半分を東京都が占めるなど偏在が著しく、それが新型コロナウィルス対策に充当できる財源の地域差の一因となっている。

財政調整基金の残高に地域差が生じる要因には、災害の発生等によるやむを得ない取り崩しがどの程度あったのかや、歳出削減による積み立てをどの程度できたかも影響するものの、何よりも地方税収の大都市圏への偏在が大きく影響している。地方税収の偏在を均すため、国から地方交付税が交付されているものの、完全には均し切れていない。

地方税収の偏在は、住民の選択に起因するものではなく、これによって自治体の行政サービスに地域差が生じることは、地方の行政サービス水準とその負担の両方を住民自身が選択するという地方分権の趣旨に沿った姿とは言い難い。

地方財政の財源として、地方法人二税(法人住民税と法人事業税)を縮小し、個人住民税や固定資産税を拡大する形で改革を行えば、地方税収の偏在を是正することも十分に可能である。地域住民自らの意志に基づく追加負担によってニーズに応じた独自サービスが実施される地方財政構造への転換が求められる。

新型コロナ対策で見えた地方税の偏在-求められる住民の選択による地方財政運営(PDF:860KB)
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