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リサーチ・フォーカス No.2020-001

オンライン診療の現状と展望

2020年04月20日 飛田英子


新型コロナウィルス感染拡大を機に、オンライン診療に脚光。オンライン診療とは、パソコンやスマートフォンなどの情報通信機器を通して患者の診療や診断を行い、診断結果の伝達や薬剤の処方をリアルタイムで行う医療行為。

オンライン診療のメリットとして、通院時間の節約に加えて、患者の身体が不自由であったり、通院時が悪天候である等、外出が困難な場合でも受診できることが指摘。医師にとっても、継続的に患者の状態を把握することが可能に。一方、デメリットとして、画面を通じての診療であるため、対面診療に比べて病状の見落としや誤診の可能性が高くなること。

わが国では、オンライン診療は1997 年にスタート。20 年以上の歴史があるものの、2017 年で導入している病院は21(全体の0.2%)、診療所は449(同0.4%)に過ぎず、普及しているとはいいがたい状況。
オンライン診療が進んでいない要因として、患者が限定されていることが指摘。具体的には、患者は慢性疾患を抱えており特定の医学管理料が算定されていることに加えて、オンライン診療を受けるまで最低3 カ月の間、対面で毎月診療を受ける必要。一方、医師サイドとしては、対面診療に比べて低報酬であることが指摘。また、オンライン診療と対面診療は同じ医師である必要があり、緊急時の対応等、オンライン診療によって負担が増えることも一因に。

今後、高齢化や働き方の多様化が進むなか、医療機関に出向かなくても医療サービスを受けることのできるオンライン診療に対するニーズは拡大する見込み。
オンライン診療の普及に向けた課題を整理すると、第1 は、医師・患者の間の信頼関係の確保。画面を通じての診療であることの限界があることを踏まえると、トラブルの発生を未然に防ぐ観点からも、患者・医師間の信頼関係の確保が不可欠。
第2 は、オンライン診療に係る報酬の見直し。オンライン診療担当医はかかりつけ医として機能していることを考慮すると、オンラインか対面かによって評価に差が生じることの根拠は薄い。
第3 は、情報通信環境の整備。情報通信機器の扱いに不慣れな患者でもオンライン診療に参加できる環境を整備する必要。同時に、患者情報保護の観点からセキュリティーの徹底が求められる。

オンライン診療の現状と展望(PDF:491KB)
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