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リサーチ・アイ No.2019-059

【≪関西経済シリーズ No.10≫】
新型コロナウィルスが関西経済に及ぼす影響 Vol.2

2020年03月06日 若林厚仁


新型コロナウィルスの影響は日に日に深刻化。Vol.1(2020/2/5リリース「新型コロナウィルスが関西経済に及ぼす影響」)で分析したインバウンド消費減や関西域外からの国内旅行減、中国向け輸出減に加え、関西居住者の消費減も懸念される状況。

過去の例を見ると、2009年の新型インフルエンザ流行時、患者が急増した5月に関西の公立校で1週間程度の一斉臨時休校を実施。感染を懸念する人々が出控えた結果、企業業績にもマイナス影響が波及。当時の関西企業向けアンケート結果を見ると、サービス業において特に影響が大きく、宿泊・飲食・娯楽業の8割が売上が減少したと回答(図表1)。

2009年5月の関西の延べ宿泊者数は前年比2割程度減少、鉄道や航空便利用者数も流行前に比べて1割程度落ち込み。もっとも、減少は長続きせず、1~2ヵ月で落ち込み前の水準に回復。サービスの落ち込みに対し、百貨店売上には大きな変化は見られず(注1)(図表2)。
(注1)これに対し、2020年2月の京阪神百貨店売上高は前年同月比2桁減となったが、売上の1割を占めるインバウンド消費減の影響大。また、前年2019年は春節が2月だったことの反動も出ている。

今回の出控えで影響を受ける可能性のあるサービス消費支出(外食費、宿泊・旅行費、交通費(定期代除く)、入場・観覧費、こづかい・交際費等)を総務省の家計調査から抽出すると、関西一世帯当たり年間48.6万円、関西全世帯(884万世帯)では4.3兆円と試算される。また、Vol.1で示した通り、関西でのインバウンド消費(年間1.2兆円)、関西域外から関西への国内旅行消費(年間2.3兆円)も減少が見込まれる。

2009年の新型インフルエンザ時の影響や直近の報道を踏まえ、今回のコロナウィルスにより、①関西居住世帯の外出に伴うサービス関連支出が3ヵ月間2割減、②関西域外からの国内旅行客も3ヵ月間2割減、③中国・韓国人訪日客が3ヵ月間9割減、その他の国からの訪日客が2割減となった場合、合計で約▲4,900億円消費が下振れることに(図表3)

上記消費減少に伴う負の波及効果(生産減少額)及び粗付加価値減少額(注2)を試算すると、負の波及効果は▲7,800億円、粗付加価値減少額は▲4,200億円に達する。サービス業が中心ながら、製造業等の幅広い業種にも影響が波及。中国経済の悪化に伴う輸出減も懸念材料。1~3月の中国GDP成長率が、現在の当社予想である前年比▲1.0%まで悪化した場合、中国向け輸出は▲1,700億円、粗付加価値で▲1,200億円程度の下振れが発生(中国向けの付加価値率を70%と想定。なお、中国向け以外の輸出も下振れる可能性あり)。消費減と中国向け輸出減の影響を合わせると、粗付加価値は▲5,300億円程度下振れ。関西の年間域内総生産を▲0.6%下押しすることに(図表4)。以上の分析は、一定の前提の下で試算したものであるため、幅を持って見る必要があるものの、想定される関西経済への影響は極めて大きく、引き続き注視が必要。
(注2)粗付加価値とは、財・サービスの最終生産額から原材料などの中間投入額を差し引いたもの。例えば、コメを国内農家が1キロ200円で流通業者に販売し、流通業者がスーパーに300円で卸し、スーパーが400円で消費者に販売した場合、農家、流通業者、スーパーが得る粗付加価値はそれぞれ200円、100円、100円となる。こうした国内の粗付加価値の合計額がGDP(国内総生産)となる。

新型コロナウィルスが関西経済に及ぼす影響 Vol.2(PDF:324KB)
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