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RIM 環太平洋ビジネス情報 Vol.20,No.76

製造業の再生に向けて動き出した韓国-再生を図る政府 事業の再構築を進める財閥

2020年02月19日 向山英彦


本稿では、低成長につながった韓国製造業の不振に焦点を当て、その再生に向けた政府と財閥グループの取り組みを明らかにする。

韓国では2000年代に輸出が成長をけん引し、年平均4.4%の成長を記録したが、11年以降は成長率が2~3%台で推移している。経済の成熟化を別にすれば、チャイナショックと文在寅政権の経済政策の影響によるものである。こうした一方、経済に大きな変化が生じている。その一つが経常収支の黒字定着で、もう一つが対外直接投資の増加である。対外直接投資が増えた結果、所得収支は10年に黒字に転じている。

低成長が続くなかで際立っているのが、製造業の不振である。製造業の成長率は2000年代の年平均6.4%から10年代に2.8%へ低下した。チャイナショックによるところが大きいが、企業の事業戦略の失敗や産業高度化の遅れなども要因である。

製造業の再生をめざして、文政権は19年6月、「製造業ルネッサンスのビジョンと戦略」を打ち出した。目標として、30年までに世界4大製造強国になる、製造業の付加価値率を現在の25%から30%以上に引き上げる、新産業・新品目の割合を16%から30%にすることなどが掲げられた。

他方、財閥グループも事業の再構築を進めている。サムスングループが近年力を入れているのが、バイオ医薬品や次世代自動車関連、次世代半導体などである。半導体事業では、微細化水準を高めたメモリの開発を進める一方、メモリへの偏重を是正するためにプロセッサの生産とファウンドリー事業なども推進している。

現代自動車の改革は遅れたが、18年9月に首席副会長に就任した鄭義宣の下で、主力市場での販売立て直し、研究開発力の向上、未来に向けた事業の再構築などを進めている。将来的に自動車50、小型航空機30、ロボット20の比重にし、スマート・モビリティーサービスを提供する構想を明らかにした。

このように、韓国では製造業の再生に向けた取り組みが始まった。韓国企業の動きは日本のサプライヤーにも影響を及ぼすため、十分に注意していく必要がある。文在寅政権も政権発足当初と異なり、企業の投資を積極的に支援する姿勢に転じている。企業の新事業を後押しする規制緩和の実施や研究開発を担う人材の育成など、課題は多いものの、今後の動きに注目したい。
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