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リサーチ・アイ No.2019-040

英国経済は「合意あり離脱」後も低成長が持続-EUとのFTA交渉は難航する見込み

2019年12月13日 高野蒼太


12月12日に実施された英国の下院選挙の結果、保守党が解散前の298議席から大幅に議席数を伸ばし、326議席を上回る単独過半数を獲得。これにより、10月にジョンソン英首相とEUが合意した離脱協定案が英国議会の承認を得ることが確実に。2020年1月31日に、英国のEUからの「合意あり離脱」が実現する見込み。

もっとも、「合意あり離脱」後の展開は楽観できず。離脱後、英国政府は、EUや第三国と新たな貿易協定などの交渉を開始。これまでのEUによるFTA等の交渉をみると、交渉開始から発効までに要した時間は、最短の韓国でも4年以上。英・EU間には既存の関係という土台が存在する一方で、将来の関係をめぐる双方の主張には相違点が多く、交渉は難航する見込み。これらを踏まえると、保守党は2020年末の完全離脱を公約に掲げているものの、それまでの新協定発効は困難と予想され、移行期間は延長される公算が大。新たな通商関係の全体像を見通せない不透明感が、引き続き英国経済の重石に。

さらに、Brexitによる移民や海外からの投資の減少が、英国経済の成長力を抑制。2016年の国民投票以降、労働を目的とした英国への移民流入は、EU出身者を中心に大きく減少。保守党はEU出身の移民への優遇策の撤廃を掲げており、今後も移民の減少が続く見込み。また、海外からの直接投資も、16年をピークに減少。Brexitによって、英国は世界の金融センターとしての地位や欧州市場戦略上の拠点としての魅力が低下し、海外からの投資は先細りしていく可能性が大。

英国経済は「合意あり離脱」後も低成長が持続-EUとのFTA交渉は難航する見込み(PDF:239KB)
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