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リサーチ・フォーカス No.2019-032

AI活用が期待される工場のIoT化-地道な改善とイノベーション創出が重要に

2019年11月25日 成瀬道紀


工作機械や産業用ロボットなどのFA 産業で高い競争力を持つわが国にとって、工場のIoT 化は、デジタルトランスフォーメーション(DX)に関連する分野のなかでも、強みを発揮できる分野と考えられる。加えて、工場のIoT 化で自動化が進めば、生産年齢人口の減少で深刻化する人手不足の緩和など、わが国製造業が抱える課題の解決にも繋がる。そこで、本稿では工場のIoT 化の動向について整理した。

工場のIoT 化は、近年急速に脚光を浴びるようになったが、実態は半世紀以上にわたる息の長い変革の途上にあるといえる。実際、大企業などでは、既に工場の設備はコンピュータネットワークで繋がれ、高度に自動化されている。工場のIoT 化において、足元で起こりつつあるブレークスルーは、AI によって、条件や数式で表すことができない曖昧な事柄に対する判断も、コンピュータができるようになってきたことである。AI の精度を高めるために、これまで活用していなかった生産現場の膨大なデータを収集するためのIoT プラットフォームの提供など、新しい動きも出てきており、工場のIoT 化に広くAI を活用できる環境が整いつつある。

IoT・AI を工場で活用するに当たり、わが国製造業に顕著な課題として、①生産現場とデジタル技術の両方を理解する人材の不足、②AI に学習させるビッグデータを得るには企業間のデータ共有が有効であるのに生産現場のデータの社外提供に対して後ろ向きなこと、を挙げることができる。これに対し、新入社員をIoT やAI の学習に専念させて育成したり、機械の故障予知サービスのような顧客がメリットをイメージしやすい分野でデータを取得したりするなど、課題の克服に向けて取り組みを始めている企業もある。

工場の生産現場において、IoT やAI は基本的に改善のためのツールとして位置づけられる。一つ一つの改善の効果は限られていても、長年積み重ねていくことで、大きな差が開いていくと考えられる。一方で、IoT やAI のような汎用技術は、思いもよらない形でものづくりを抜本的に変えるイノベーションを生む可能性もある。わが国製造業は、IoT やAI を活用した地道な改善に着実に取り組みつつ、イノベーション創出に向けた試行錯誤を続けることが求められる。

AI活用が期待される工場のIoT化-地道な改善とイノベーション創出が重要に(PDF:583KB)
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