10 月末、中国共産党第19 期中央委員会第4回全体会議(以下、四中全会)が開催された。四中全会は、開催時期が大幅に遅れたこと、そして経済改革プランの決定を先送りしたことの2点で、異例の展開となった。本稿は、その背景を中心に分析する。
四中全会が異例の展開となった背景には、①権力集中に対する批判、②米中関係の悪化、の二つの要因がある。今回の四中全会では、慣例となっている中期の発展指針となるような経済改革プランの提示はなかった。会議で決まった方針は政治面、なかでも香港問題への関与強化と一強体制の維持に重点を置いている。習近平政権は、権力集中批判を受け入れる姿勢を示しつつ、実態としては一強体制の維持に成功したといえる。
経済改革プランは、2021 年からの5カ年計画の策定に不可欠であることから、2020年に開催予定の五中全会で採択される見込みである。そこで、「中国製造2025」に象徴される強気の産業政策をプランに盛り込むのか、あるいは対米協調路線に沿って産業補助金等の見直し方針を示すのか。習政権は難しい判断を迫られる。
・異例の展開となった中国の四中全会(PDF:497KB)
