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RIM 環太平洋ビジネス情報 Vol.19,No.74

2020年代のインド経済の課題

2019年08月21日 熊谷章太郎


2019年4~5月、インドでは下院総選挙が実施され、モディ政権が継続することとなった。第2次モディ政権の5年間を含む2020年代のインド経済の主要課題としては、以下の3点を指摘出来る。

第1に、ビジネス環境の一段の改善とそれによる対内直接投資の増加を通じた雇用創出である。税制簡素化、外資規制緩和、インフラ整備などを一段と推し進めるとともに、過去5年間滞っていた土地収用法や労働関連法制にかかわる改革を進められるかがカギを握る。また、米中貿易戦争の深刻化などを背景に、生産拠点を中国から他のアジア新興国へ移転させる動きが顕在しつつあるが、インドがその有力候補となるためには、インドに広がりつつあるアメリカとの貿易摩擦を回避することが重要である。

第2に、財政・金融を含むマクロ経済の安定性向上である。財政赤字削減については、歳出・徴税効率の改善に加え、銀行・電力・農業などの改革を通じて同分野への補助金支出を抑制する必要がある。経常収支赤字については、原油価格の急反発に伴う再拡大のリスクがある。そのため、製造業振興を通じた輸入代替や輸出振興、エネルギー構成における再生可能エネルギー比率の上昇などを通じて、原油価格高騰に伴う景気悪化リスクを抑制することが求められる。

第3に、経済成長と環境改善の両立である。貧困削減や雇用成長につながる経済成長を重視しつつも、再生可能エネルギー比率の上昇、エネルギー発電・配電効率の改善、EV(電気自動車)の普及、排ガス規制の強化などにより、大気汚染をはじめとした深刻な環境問題を改善していくことが求められる。

このように、インドは様々な課題を抱えているものの、人口増加、都市化の進展、一段の経済改革の進展など背景に底堅い成長が続くと見込まれる。その結果、2030年前後にわが国の名目GDPを追い抜き中国、アメリカに続く世界第3位の経済大国となると予想される。この間、中国からインドを含む他のアジア新興国への生産拠点のシフトが進み、アジアの貿易・投資構造は大きく変容すると予想される。

これまで、わが国のインドへの進出ペースは他のアジア各国に比べると見劣りしていた。しかし、インドのビジネス環境の一段の改善や経済規模の拡大を背景に、輸出を通じたインド需要の取り込みだけでなく、直接投資を通じた現地での事業展開への関心が高まっていくと予想される。また、わが国の外国人技能実習生やインバウンド観光など、インドのプレゼンスが限られる分野においても、今後インドの重要性が大幅に高まっていくことになるだろう。

2020年代のインド経済の課題(PDF:2186KB)
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