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リサーチ・アイ No.2019-019

2019~2020年度改訂見通し―内需に牽引される形で、緩やかな景気回復が持続―

2019年08月09日 村瀬拓人


2019年4~6月期の実質GDPは前期比年率+1.8%(前期比+0.4%)と、3四半期連続のプラス成長。成長率を押し上げたのは、堅調な内需。需要項目別にみると、アジア向けを中心に輸出の低迷が続いた一方、個人消費や設備投資が好調に推移。個人消費は、改元に伴う大型連休など一時的な押し上げ要因が寄与した側面があるものの、良好な所得環境が消費活動を下支え。設備投資は、2次QEで下方修正される可能性があるものの、これまでのところ、輸出の減少を背景に投資を先送りする動きは見受けられず。景気は回復基調が続いていると判断。

先行きを展望すると、世界景気が全般的に勢いを欠くなか、輸出の力強い回復は期待しにくいものの、内需に牽引される形で、緩やかな景気回復が続く見通し。企業の設備投資は、高めの伸びの反動から短期的には一服感が強まる可能性があるものの、人手不足や働き方改革を背景とした省力化投資や、老朽化した設備の更新など、構造的要因がもたらす需要の強さに支えられ、増加基調が続く見込み。個人消費も、所得環境の改善に支えられ、緩やかな増加が続く見込み。消費増税後は、駆け込み需要の反動で一時的な減少が予想されるが、軽減税率の導入や教育・保育の無償化などの消費増税対策により家計の負担増が緩和されることで、個人消費の大幅な落ち込みは回避。

結果として、2019年度および2020年度の成長率は、1%程度とみられる潜在成長率に近い緩やかな成長が続く見通し。

ただし、海外経済の下振れリスクは強まっており、とりわけ、米中の貿易戦争の行方に注意が必要。これ以上の対立激化は、米国へのマイナス影響も大きくなるため、メイン・シナリオでは、いずれ妥協が図られると想定。8月に入りトランプ大統領が発動を示唆した対中制裁関税第4弾についても、どのような形で実施されるか不透明な部分があり、現時点では成長率の見通しに織り込まず。実際に関税が引き上げられた場合は、先行き不透明感から米中だけでなく世界的に企業の設備投資が慎重化するリスクがあり、わが国にも資本財の輸出・生産を中心にマイナス影響が顕在化する公算大。

2019~2020年度改訂見通し(PDF:205KB)
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