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中国の革新的なシステムの実装プロジェクトが加速
2018年11月27日 井熊均
中国の習近平国家主席が主導していると言われる河北省の雄安新区には、数ヘクタール規模のデモ街区があります。毎日、結構な数の人が近くのパーク&ライドのステーションからバスに乗ってデモ街区まで見学に来ています。
デモ街区では、トヨタのeパレットくらいの大きさの自動運転車、自動運転コンビニ、荷物運び用の自動走行車、無人コンビニ、無人ホテルなどを見学することができます。一つ一つ、よく作られていると思いますが、この分野の日本や欧米の技術レベルを知っている人なら、個々の技術について驚くことはないでしょう。デモ街区を見学して会社に帰り、そうした報告をしている方がいるかもしれません。
しかし、多くの日本人がそうした報告をしているとしたら、それこそが日本の低成長の原因の一つではないでしょうか。中国の人も雄安でやっていることが全て現実になるとは思っていません。ただし、こうした実証をやっていけば、何らかの革新的なシステムが社会的に実装される、あるいは、街区としてやって初めて分かることがある、と思っている人はたくさんいるはずです。
アジャイル開発はソフトウェアで提唱された開発手法ですが、昨今は新しいビジネスの立ち上げでも同様の考え方が取り入れられています。中国はこれを社会システムの開発に取り入れているように思います。個々人との対話、ユーザーとの協調が欠かせないAI/IoTによる社会システムの開発には、ぴったりの理念といえます。
現段階で、中国政府がどのような開発理念を持っているか明言できませんが、中国中でAI/IoTを投入した次世代型スマートシティのプロジェクトが加速していることは間違いありません。
※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。