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技術革新による求められる素養の変化

2018年08月28日 井熊均


 アジア大会で日本選手の活躍が続いています。男子100mでは、山縣選手がベストタイム9秒92を誇る中国の蘇選手と、まさに手に汗を握る接戦を演じてくれました。水泳でもメダルラッシュが続いています。日本のスポーツ選手は本当に強くなりました。水泳などで日本選手が画面から消えてしまうようなことがあったのは遠い昔のようです。

 日本のスポーツが強くなったのは1990年代前半頃からだと思います。ちょうど、Jリーグが設立された時代ですが、多くの種目で外国人コーチが招かれ指導方法が刷新されました。外国人コーチの功績は二つのことを意味しています。一つは、世界で実績を残した理論が日本のスポーツチームを強くしたということです。そしてもう一つは、それまでの日本の旧い指導方法が払拭されたということです。時代の変わり目には、優れた理論をいち早く取り入れ、反対を押し切ってでも時代遅れの理論を払拭することが必要です。

 同じことは仕事の現場でも言えます。大学を卒業してメーカーの設計部門に入りました。大企業の中でアウトソーシングやCADの導入が進んだ時代です。そうした中、「自分で図面を描かないと良い設計者になれない」、と言う方がいました。1990年に日本総研に入社すると、分厚い統計書を引っ張り出して表やグラフを作る仕事がたくさんありました。インターネットが普及するとそうした表やグラフの多くはホームページが提供してくれるようになりました。そうした中、「自分で表やグラフを作らないと良いコンサルタントになれない」、と言う方がいました。

 親切心からのご助言ではありましたが、言われた通りにはなりませんでした。技術革新で設計者やコンサルタントに求められる素養が変わったからです。

 現状を振り返ると、IoT、AIなどで我々は何十年に一度の技術革新の時代にいます。過去の経験に引きずられず、未来を向いた発言を心掛けることは、我々世代の重要な役割と思います。


※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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