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再生可能エネルギーの日本の具体的方向性

2018年05月22日 井熊均


 先週、4年ぶりとなるエネルギー基本計画が発表されました。再生可能エネルギーが主力電源とされたことを評価する意見もありましたが、テレビでもコメントしたように、再生可能エネルギーが電力の中心となることは世界中の既定路線です。今求められているのは、それをどう実現するかです。日本ではまだ「再エネは高い」と思う人が少なくありませんが、世界中の多くの地域でそんな考え方は過去のものとなっています。世界の関心は、再エネの変動をどう吸収し、放置すると他電源の事業を破綻させてしまう協調性の低さをどのように克服するか、になっています。東日本大震災直後の混乱の中、不十分な検討で固定価格買取制度を立ち上げたこともあり、再エネ価格が国際レベルの二倍という状況から抜け出せない日本はまさに周回遅れです。

 原子力発電についても、依存度比率をできるだけ下げると言いながらエネルギーの自立性を高めるとするなど、取り組み姿勢が決まっていません。

 今回のエネルギー基本計画を見ると、エネルギーを取り巻く多くの事象が指摘されており、膨大な議論が行われた経緯が伺えます。いくつかの不確定要素や日本の置かれた難しい状況を考えれば、現段階で具体的な方向性が決まっていないのはやむを得ないのかもしれません。問題はエネルギー市場が恐ろしいスピードで変わっていることです。3年後に次のエネルギー基本計画で具体的な方向性が決まった時、発送電事業やIoT、AIを使ったインフラ運営事業の国際的な勢力図が決まってしまっているかもしれません。エネルギーはあらゆる活動の基盤ですから、再エネが主力電源となったエネルギーシステムを実現するための具体的な戦略が示されていないことが心配なのです。


※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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