コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

経営コラム

IKUMA message

IoTの時代をリードするための日本の活動スタイル

2018年03月27日 井熊均


 「IoTが生み出すモノづくり市場2025」という本を出しました。AIは、新聞に話題が載らない日はない、と言っていいほど注目されていますが、IoTはAIの前提でもあります。影響を及ぼす範囲はAIより広く、製造業の割合が大きい日本は他国に比べてIoTの影響を大きく受けることになります。上手く取り込めば得意の製造業を次世代に向けた成長産業に転じることもできますが、取り込みに失敗すれば世界のトップレベルにある製造業も生き残りを問われることになりかねません。日本にとって、1990年代から続くIT革命の最大の山場、と言っていいのでしょう。

 個人的には、技術力や企業体力で見れば、日本企業は十分にグローバル市場をリードできる素養を持っていると思います。一方で心配することもあります。IoTは文字通りITとモノの境界領域にある技術ですから、企業、研究機関、政府機関等の間での活発な連携が欠かせません。そこで大事なのは、秀でたアイデアやプランを軸に連携を加速させていく、スパイラルアップ型の動きです。ここではコンセンサス重視の日本企業の活動スタイルが減速要因になってしまう可能性があります。

 社内の会議でも、複数企業が集まる会合でも、日本では閃き的な優れたアイデアやプランに対して、聞いていない、根拠は何だ、唐突だ、という意見が出がちです。関係者の納得が必要なのは分かりますが、こうした意見は尖がったアイデアを平凡なものに換え、異才を萎えさせ、スケジュールの戦略性を落とすことにもつながります。IoTの時代をリードするには、秀でていると思うアイデアやプランがあれば、それに筋骨をつけるために、短時間で関係者のベクトルが一致する、という活動スタイルなのです。

 100年に一度とも言える革新の波に乗るためには、長年培ったコンセンサス重視の文化を捨て去るくらいの気持ちが必要なのかもしれません。


※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
経営コラム
経営コラム一覧
オピニオン
日本総研ニュースレター
先端技術リサーチ
カテゴリー別

業務別

産業別


YouTube

レポートに関する
お問い合わせ