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CSRを巡る動き:介護離職削減に動き始めた企業

2017年12月01日 ESGリサーチセンター


 「平成24年就業構造基本調査」(総務省)によると、平成23年10月から平成24年9月のあいだの一年間に介護・看護のために離職した人は約10万人に上ることが明らかになっています。今後、さらなる少子高齢化の進行に伴い、男女を問わず働き手ひとりひとりの介護負担は増えていくことになるでしょう。特に、多くが管理職となっている中高年層が抱える介護負担の増加は、深刻な問題です。「超高齢社会における従業員の働き方と企業の対応に関する調査(平成26年)」(公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団)は、51から60歳の管理職全体の中で、現在介護が必要な親がいる、あるいは、近々介護が必要となる可能性がある親を持つ人の割合は半数を超えることを明らかにしています。仕事と介護の両立が困難となり、介護離職を選択する人たちの数を少しでも減らすための取り組みを行うことも、CSRの一環に位置づけられるようになっています。

 ただ、まだまだ仕事と介護を両立できる職場が少ないのが現実です。「平成24年度仕事と介護の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング・厚生労働省委託調査)によると、男女共に手助・介護を機に仕事を辞めた人の約6割が、仕事と手助・介護の両立が難しい職場だったことを理由に挙げています。手助・介護を機に仕事を辞めた時の就業継続の意向を見ると、「続けたかった」人の割合は、男性(56.0%)、女性(55.7%)に達しており、離職した人の半分が仕事と介護との両立を希望していたにも関わらず、就業継続できなかったことになります。時間や場所を柔軟に選択でき働ける環境を整備するなど、従業員が介護と両立しながら仕事を続けられるための環境づくりが早急に必要とされているのです。

 現在はまだ介護に直面している従業員が少ない企業においても、介護離職を予防する取り組みは有効です。「平成26(2014)年度 仕事と介護の両立支援事業 社内アンケート(事前)」(株式会社wiwiw・厚生労働省委託調査)では、介護に関する具体的な負担として、回答が最も多かったのが、「公的介護保険制度の仕組みがわからないこと」(53.3%)であり、つづいて、「介護がいつまで続くか分からず、将来の見通しを立てにくいこと」(52.2%)、「仕事を辞めずに介護と仕事を両立するための仕組みがわからないこと」(44.7%)となっています。これらのことから、介護に関する知識不足が、介護の負担感を増大させていることが分かります。すでに、休憩時間や社内ホームページを利用して、従業員に対して介護情報を提供する企業も出てきています。介護問題に直面した従業員が、介護問題への対処が分からず、その精神的負担等から、離職してしまうことを避けるためです。日頃から、企業側が介護に関するきめ細かな情報提供を行うことも介護離職の予防に向けた重要な取り組みなのです。

 いち早く、介護離職削減の施策を行うことは、従業員とその家族のためにメリットを生むだけではありません。そもそも企業側にとっては、長年、育成した人材の離職を防ぐことに、大きな意義があります。加えて、仕事と介護の両立がしやすい環境づくりを行うことは、性別、年齢等を問わず、多様な人材が活躍しやすい企業に変化していくきっかけになるのではないでしょうか。
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