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CSRを巡る動き:ジャパンSDGsアワードの制定、SDGsの情報開示

2017年10月02日 ESGリサーチセンター


 2017年7月に国連本部で開催された、「持続可能な開発のための国連ハイレベル政治フォーラム(以下、HLPF)」で、岸田文雄外務大臣(当時)は持続可能な開発目標(SDGs)に関する日本国内の取組みについてスピーチを行いました。これは「自発的国家レビュー」と呼ばれるもので、国連加盟各国がSDGsの進捗状況を定期的に自主報告する仕組みに基づくものです。同スピーチでは、政府のSDGs実施指針の策定に言及し、自治体、JICA、企業、教育機関等による取組み事例を紹介した後に、ジャパンSDGsアワードの創設やSDGsにコミットする団体へのロゴマーク付与など、SDGsの国内認知度を更に向上させるための施策が発表されました。タレントのピコ太郎氏を起用した官民パートナーシップ(Public Private Action for Partnership: PPAP)も広くメディアで取り上げられたことから、多くの市民の注目を獲得しました。

 では、ジャパンSDGsアワードとはどのような表彰制度なのでしょうか。外務省によれば、SDGs達成に資する優れた取組みを行っている日本の企業・団体等を対象に、毎年5案件程度を表彰すると発表されています。その選考基準は、政府が策定したSDGs実施指針の5つの主要原則に基づき、下記に示すような視点で評価が行われます。

 ●普遍性:SDGs(複数のSDGsであることが望ましい)の達成に資するものであるか
 ●包摂性:「誰一人取り残さない」理念の下,脆弱な立場の人に焦点を当てているか
 ●参加型:セクターを超えたパートナーシップやイノベーティブな手法を活用しているか
 ●統合性:経済・社会・環境の相互関連性を重視しているか
 ●透明性と説明責任:取組の公表・評価・見直しを,透明性をもって行っているか

 こうした政府による取組みに加え、現在は国内大学や民間レベルでもSDGsへの貢献に関するアワードやビジネスプラットフォームの構築が進んでいます。企業の環境・CSR部門にとって、今後こうしたSDGsへの取組みを対外的に情報発信する場がますます増えることになるでしょう。加えて、現在、企業のサステナビリティ報告の普及・促進を行うGRI(Global Reporting Initiative)と国連グローバルコンパクトが主導し、企業のSDGsに関する情報開示手法やベストプラクティス集の策定が進んでいます。この策定プロセスにおいては、先に挙げた2者に加え、責任投資原則(Principles for Responsible Investment: PRI)や国連グローバルコンパクトに署名済みの有志企業グループ(Corporate Action Group)も参画し、2018年末を目処に企業のSDGsの取組みに関する情報開示手法を公表予定です。このような情報開示の標準化が進めば、PRIに署名済みの機関投資家なども今まで以上に企業のSDGsへの取組に関心を高めるでしょう。

 企業側には、このような国際的な情報開示手法が公表されるのを単に待つだけではなく、政府ないしは国連グローバルコンパクト等の動きにも呼応して、SDGsに関心を持つ投資家等と先行して対話を行い、情報開示を進めていくことが期待されています。
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